『DIGGER/ディガー』独特の映像はフェルメールなど画家から影響、イニャリトゥ監督が明かす【独自】

「すべてのフレームを一枚の絵画にしたかった」。トム・クルーズ主演の映画『DIGGER/ディガー』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が筆者の単独インタビューで、本作の独創的な映像美を生み出した意外なインスピレーション源を明かした。参考にしたのは映画作品ではなく、ヴィルヘルム・ハマスホイ、エドワード・ホッパー、フェルメールといった画家たちだったという。
本作でイニャリトゥ監督と再びタッグを組んだのは、『バードマン』『レヴェナント』でも組んだ名撮影監督エマニュエル・ルベツキ。過去2作では圧倒的な長回しや自然光を生かした映像が印象的だったが、『DIGGER/ディガー』ではまた異なる映像世界を作り上げている。柔らかな色彩とコントラスト、緻密に設計された構図が特徴的で、どこか絵画的な趣もある。
そこでイニャリトゥ監督に、ルベツキとどのような映像世界を目指したのか尋ねた。
「この映画には、とても、とても、とても独自の映像言語があります。何か特定の作品を参照したものとは、かなり離れていると思います。」
『DIGGER/ディガー』では広角レンズやローアングルを多用。劇中では「現実」の違い表現するため、場面に応じて映像手法を変化させていることも明かした。

では、そうした独特な映像表現はどこから生まれたのか? 監督が大きな影響を受けたと語ったのは、映画ではなく絵画だった。
「むしろ私たちが大きなインスピレーションを受けたのは、画家たちですね。たとえばヴィルヘルム・ハマスホイ。彼の作品からは本当に大きな影響を受けました。エドワード・ホッパー、それからフェルメールなどもそうです」
デンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイは、抑制された色彩や静謐な室内画で知られる。アメリカの画家エドワード・ホッパーは、都会の孤独や静けさを、印象的な光と構図で描いた。そして『真珠の耳飾りの少女』などでも有名なオランダの巨匠ヨハネス・フェルメールは、室内に差し込む光や緻密な空間表現で知られている。
監督は、これらの画家から受けた影響を、次のような言葉で説明した。
「私は、すべてのフレームを一枚の絵画にしたかった。非常に映画的な絵画です。その中に入り込んで、迷い込むことができるような。そして登場人物たちがそこに存在している“文脈”まで見えるようにしたかった。」

単に美しい構図を作るだけではなく、その空間に登場人物が存在する意味や背景までを、一枚の画面に込めようとしたというわけだ。
「だから私たちは、一つひとつのフレームに魂を注ぎ込みました。すべて非常に緻密にデザインされています。」
その徹底したこだわりは、撮影現場でも発揮されていたようだ。共演のリズ・アーメッドは以前、ルベツキが光の反射を調整する際に、10種類以上ものグレーの濃淡を使い分けていたことを明かしている。映像のわずかなニュアンスを表現するためにも、細部まで作り込まれていたのだ。
もっとも、監督は『DIGGER/ディガー』の映像を、特定の映画作品に似せようとしたわけではない。「何かほかの作品に近いかと言われると、私には特に思い当たるものはありません」と改めて強調した。
映画『DIGGER/ディガー』は全国公開中。THE RIVER公式YouTubeチャンネルでは、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督へ行った、ここだけでしか見ることのできない貴重な単独インタビューフル動画を公開中だ。
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