トム・ホランド、RDJから教わった「それっぽい専門用語を適当に言う演技」いまも実践 ─ ピーターがトニーから受け継いだもの

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でトニー・スターク/アイアンマンがピーター・パーカー/スパイダーマンに多くを授けたように、現実でもロバート・ダウニー・Jr.はトム・ホランドに“ある技”を伝えていたようだ。もっともそれは、ヒーローとしての心構え……ではなく、天才っぽく見えるための即興テクニックだった?
米IGNのインタビューで、ホランドは本作におけるピーターの孤独について語った。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)のラストで、世界中の人々はピーター・パーカーの存在を忘れてしまった。MJもネッドも、もはやピーターのことを知らない。そんな状況で『ブランド・ニュー・デイ』のピーターは、友人たちをSNS越しに見守りながら、孤独で傷つきやすいスパイダーマンとして描かれるという。
ホランドにとって、その演技は決して簡単ではなかったようだ。「実際、かなり大変でした。僕はすごく社交的な人間なので」とホランド。「演技というのは、素晴らしい相手役がいてこそ、より良くなるものだと思うんです。お互いに受け渡しをしながら、シーンに命を吹き込んでいく。そういう時に、シーンは本当に生きるんです」。
ところが本作では、ピーターがひとりでいる場面も多いという。「この映画の多くの場面では、僕はひとりでいる。そこで物語を伝えなければいけない。でも、自分に向かってただ話すわけにもいかないんです」とホランドは語った。
ここでMJ役ゼンデイヤが称賛したのが、ホランドの“スパイディらしい頭の良さ”を表現する演技だ。「本当にすごいと思うのは、彼が“スパイディらしい頭のいいピーター・パーカー”として、機械に向かって専門用語っぽく話すのが本当にうまいことなんです」とゼンデイヤ。「『これは脚本に書いてあるの?』って聞くと、『いや、今作ってるだけ』って言うんです。どうしてそんなにスラスラ出てくるの?本当にそれっぽく聞こえるんです。でも私は、彼が何を言っているのか全然分かっていないことも知っている(笑)」。
では、その“賢そうに見せる”技術はどこから来たのか。ホランドによれば、きっかけはMCU初参加作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)だったという。
「『シビル・ウォー』の時のことを覚えています。頭が良く聞こえるように、即興用のセリフを書き留めていたんです」とホランドは回想する。その現場で共演したのが、トニー・スターク/アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.だった。
ホランドはダウニーに、「あなたもこういうことをやるんですよね? ジャービスと何度も話す場面があるから」と尋ねたという。するとダウニーの答えは、驚くほどあっさりしたものだった。
「彼は『いや、僕はその場で適当に作ってるだけだよ』と言っていて(笑)。『えっ、それでいいんですか?』って」。
その一言を受けて、ホランドも“賢そうに見せる練習”を始めたという。「今では“偽の賢さ”が身につきました(笑)」とホランドは冗談交じりに語っている。インタビュアーから「つまり、基本的にはアイアンマンから学んだんですね」と振られると、ホランドは「その通りです」と笑った。
なんとも微笑ましい裏話だが、同時に感慨深い話でもある。MCUにおいて、ピーター・パーカーとトニー・スタークは師弟のような関係だった。トニーはピーターにスーツを与え、ヒーローとしての責任を教え、ピーターはトニーの死後もその存在を背負い続けてきた。現実でも、若きスパイダーマン役としてMCUに飛び込んだホランドが、ダウニーの演技術を間近で見ながら学び、今は単独作でそれを実践しているというわけだ。
ホランド自身もまた、いつか誰かに同じものを渡す側になることを意識しているようだ。以前、ホランドはスパイダーマン役の将来について、「次に続く誰か、それがマイルス・モラレスであれ、スパイダー・グウェンであれ、スパイダーウーマンであれ、そういう次の章を準備する一員になれたらうれしいです」と語っていた。さらに、「もしダウニーにしてもらったことを僕もできるなら、夕日に向かってスイングしながら去ることにも、とても満足できると思います」とも述べている。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でトニー・スタークはMCUを去ったが、ホランドのピーターには、今もダウニーから受け取ったものが息づいている。『ブランド・ニュー・デイ』で孤独なピーターが機械に向かって何やら賢そうに話している時、その姿の向こうに、かつての師匠の背中がふと重なって見えるかもしれない。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は、2026年7月31日に日米同時公開予定。
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Source:IGN


























