レンタルビデオ店の思い出は? ─ アメリカでは残り1店舗、ほぼ絶滅へ

アメリカの有名レンタルビデオチェーン「ブロックバスター」が、アラスカ州に残っていた全米最後の3店舗のうち2店舗の閉店を発表した。残るはオレゴン州ベンドにある1店舗のみとなった。

「ブロックバスター」は、最盛期の2004年には全米に9,000店舗を展開したレンタルビデオ店。Netflixなどの動画配信サービスの普及に伴って経営が悪化、2010年には破産していた。

2017年4月に米The Washington Post誌が当時のブロックバスターを伝えていたところによれば、縮小したとはいえ当時も店はそれなりに賑わっていたという。ライセンス・オーナーのアラン・ペイン氏は、「金曜の夜にお店に行ってみれば、人の多さに驚くはずですよ」と語っていた。Netflixが出現した当時、アラン氏は「生き残れるだけ生き残ってみよう」と感じていたそうだ。

「金曜や土曜の夜にお店に行って映画を借りるのが楽しかった。あの頃のことを、みんな今でも覚えています。今でも、週末にお店を訪れると楽しい気持ちになりますよ。」

アラスカ州はアンカレッジに残っていた店舗マネジャーのケヴィン・デイムード氏は、この時の取材で「我々が最後の砦」と語っている。世の中の流れが変わっても、それでも「ブロックバスター」を愛しているのだと。

しかしながらケヴィン氏は、自身が勤める店舗の閉店も「時間の問題」であると受け入れていた。そしてこの度、アラスカに残っていた2店舗の閉店を知らせたのは、このケヴィン氏であった。

「アラスカに残っていた『ブロックバスター』最後の2店が、大切なお客様にお別れを告げることとなり残念に思います。この28年間、私たちは皆さんを家族のように想っていました。1991年に入社して以来、仕事を通じてたくさんの素晴らしい思い出ができました。
長年、ご支援頂きまして誠にありがとうございます。言葉にできないほどです。店じまいの時に、皆さんにお会いできれば嬉しいです。”ハロー”とだけでもお声がけ下さい。
皆さんと作品との出会いにご一緒できたこと、『ブロックバスター』での思い出を共にできましたこと、大変光栄に思います。
皆さんが恋しい!」

 

レンタルビデオ店の思い出

アメリカほど顕著ではないものの、レンタルビデオ店の縮小は日本でも同様だ。最大手のTSUTAYAは2017年度に全国70店舗以上を閉店。近所にあったレンタルビデオ店が潰れてしまった、という方も多いのではないだろうか。

「Netflix」などの動画配信サービスでは、自宅にいながらその場でタイトルを選べて、「貸出中」や「延滞金」の心配もない。自然とレンタルビデオ店からの足も遠ざかる。かつては店に通っていたほどだったものの、もう何年も訪れていないという方も少なくないだろう。ほぼ絶滅状態となったアメリカではこの度の話題を伝えるに際して「子供時代の思い出」「ノスタルジー」「むしろ未だ残っていたんだね」といった言葉で綴るメディアも。

かくいう筆者も、学生時代はレンタルビデオ店でアルバイトをしていたこともあり、思い入れは深い。店に訪れる度に、目立つ位置に陳列された新作タイトルのパッケージが目を惹いた。アルバイト代が貴重だった学生時代、赤い色の「新作」タグが黄色の「準新作」や「旧作」に貼り替えられるのを待ったものだ。

動画配信サービスでは決して提供できないものとして、先のケヴィン氏は「店員さんとのやりとり」を挙げる。「分からないことがあったとき、誰かに直接聞けるというのは良いことですよ。」
実際に店舗で働いてみると、ときどきお客さんから「この二本のどちらを借りるかで迷っているんだけど、店員さんのオススメはどっち?」と尋ねられることもあった。

またケヴィン氏は、店内を見歩きながら思わぬタイトルと出会う「宝探し」の感覚が、スクリーンを眺めているだけでは味わえない魅力だと振り返っているが、頷ける方も多いだろう。何気なく惹かれたパッケージを手に取り、裏面に記載されたあらすじを読みながら、借りるべきかを判断する。一週間以内に返却しなければならないため、「借りすぎ」には注意しながら悩んだものだった。

返却期限をすぎると、手痛い「延滞金」を取られてしまう。気づかぬまま数日が過ぎると、数千円にまで膨れ上がる恐ろしいものだった。回収する我々店員側も哀れに思ったものだった。

リード・ヘイスティングス氏は、『アポロ13』のビデオをレンタルしたまま返却に間に合わず、40ドルの延滞金を支払った。この経験からマーク氏は、ネットでDVDをレンタルできるサービスを思いついた。1997年に起業。2007年にはストリーミング配信サービスに移行する。これが現在のNetflixである。

Source:USA TODAY
Eyecatch Image:trebomb

About the author

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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