ジョージ・ルーカス、ファンの反応を気にする映画作りを批判 ─ 「今は行き過ぎている、何もかもファンがどう思うかばかり」

『スター・ウォーズ』生みの親ジョージ・ルーカスが、ハリウッドで広く用いられている「フォーカスグループ」主導の映画作りに苦言を呈した。ファンの反応に作品の舵取りを委ねる現在のスタジオの姿勢を批判している。
映画制作におけるフォーカスグループとは、公開前の試写に参加した観客の一部を集め、司会者が物語やキャラクター、テンポ、結末などについて意見を聞き取る市場調査のこと。アンケート形式のテスト試写と組み合わせ、編集や再撮影、宣伝方針などを決める際の判断材料として活用される。いわば映画の「ユーザーテスト」や「モニター調査」のようなものだ。
巨額の製作費を投じる大作映画にとっては、観客の反応を事前に把握できる手堅い手法だ。一方で、調査結果や多数派の意見を重視しすぎれば、作り手の意図や作品の尖った部分が削られ、無難な内容に落ち着いてしまう危険もある。
英A Rabbit’s Footのインタビューでルーカスは、「僕には学校に通っていた頃からの友人たちがいました。マーティ・スコセッシ、フランシス(・フォード・コッポラ)、スティーヴン(・スピルバーグ)です」と、映画作りの初期を振り返る。「僕たちは同じ時代に学生で、お互いのことをよく知っています。彼らがどんな先入観や好みを持っているかも分かっている。だから映画を見せて意見をもらった時も、彼らがどこからそう言っているのかが分かるんです」。
記事では、こうして相手の立場や嗜好を理解したうえで受け取る意見は有用だとする一方、ルーカスが不特定の観客を集めたフォーカスグループには否定的であることが紹介されている。ルーカスは次のように語った。
「僕はフォーカスグループが好きではありません。観客は、自分が何を観たいのか分かっていないんです。
あるキャラクターが嫌われたのなら、それは興味深い。映画作家として、なぜ嫌われたのかを知りたいと思います。でもスタジオはそれを聞くと、間違った受け取り方をする。彼らは、実質的に観客に映画を作らせてしまうんです。
やっぱり、今ではそれが行き過ぎています。今は何もかも、“ファンがどう思うか”ばかり。映画作りって、そういうものじゃない。映画は、映画作りを知り、語るべき物語を持ち、そこに情熱を注げる人を見つけて、その人に作らせるものです。」
ここでルーカスは、観客の反応を無視すべきだと主張しているわけではない。キャラクターが嫌われたという反応から、「なぜ嫌われたのか」を探ることには意味があると認めている。
問題視しているのは、スタジオがその反応を分析するのでなく、そのまま作品を変更するための安易な根拠として扱うことだろう。フォーカスグループは、映画のどこで観客がつまずいたのかを示すことはできても、その映画が本来どこへ向かうべきかまで決められるものではない、というわけだ。
ルーカスは続けて、「人が映画館へ行くのは、物語に感情を動かされるためです」と説明。「芸術は感情を伝える媒体です」と、映画作りの原点を語っている。
フォーカスグループへの疑念は、ルーカスだけが抱いているものではない。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)のザック・スナイダー監督も以前、「フォーカスグループによってすべての角が削られたような映画を、本当に観たいと思いますか?」と発言。会議室で決められ、検証済みのアイデアだけで作られた作品を「量販店みたいなストーリー」と表現していた。
もっとも、フォーカスグループが常に作品を無難にするとは限らない。大物プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは、『F1/エフワン』(2025)でも積極的に活用していた。
ブラッカイマーがTHE RIVERに明かしたところによれば、観客に作品名を知らせずに鑑賞してもらう「ブラインド・プレビュー」を実施し、上映後には約20人のフォーカスグループから意見を聞いたという。そこで「F1」に詳しくない観客にも本作の“最高の体験”が届けられると確認したと話している。
『F1/エフワン』は最終的に世界興行収入6億3,400万ドルを突破し、Apple製作映画として最大のヒット作となった。フォーカスグループを活用しながら、商業的な成功を収めた例である。
結局、フォーカスグループそのものより、そこで得られた反応をどう扱うかが分かれ目となる。ルーカスが警戒するのは観客の声を聞くことではなく、それをそのまま映画の“答え”にしてしまうことなのだろう。
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Source:A Rabbit’s Foot


























