『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の『未知との遭遇』オマージュ、スピルバーグ本人のアイデアだった ─ 権利は問題ない、質問?
ライアン・ゴズリング主演のSF超大作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、平凡な科学教師グレースが人類の運命を背負い、孤独な宇宙のミッションに挑む物語。ところが宇宙には、同じく故郷の未来を守るため、危険な任務に出発していた異星人のロッキーがいた──。
アンディ・ウィアーによる原作小説を、監督のフィル・ロード&クリストファー・ミラーは独自のユーモアを交えて映画化。劇中では“異星人もの”の名作『未知との遭遇』(1977)へのオマージュも捧げられているのだが、実はこのアイデア、ほかでもない『未知との遭遇』監督のスティーブン・スピルバーグによる提案だったそうだ。
この記事には、映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の描写に関する言及が含まれています。

Photo credit: Jonathan Olley
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』において、『未知との遭遇』が参照されるのは、グレースと異星人ロッキーが初めて出会うシーンだ。2隻の宇宙船をつなぐトンネルのなかで、グレースは『未知との遭遇』のテーマを口ずさみ、ロッキーも自らの音楽によってその音を繰り返すのである。
『未知との遭遇』の音楽を手がけたのは、名作曲家ジョン・ウィリアムズ。ポッドキャスト「Happy Sad Confused」に登場したロード&ミラーは、製作の最終段階まで「本当に許可は取れているんだよね!?」と心配になったというが、実際にはなんの問題もなかったようだ。
ロードは、本作の撮影のためにロンドンに飛ぶ前にふたりがスピルバーグと面会し、そこで提案を受けていたことを明かしている。
「僕たちがこの映画(『プロジェクト・ヘイル・メアリー』)のことを話していたら、彼(スピルバーグ)のほうから、“エイリアンが歌うのなら、『未知との遭遇』のテーマを歌わせたら面白くない?”と言ってくれたんです。僕たちは、“確かに言いましたね?”という感じでした。」
当時を思い出し、ミラーも「その場で“ゴーサインですね。口頭契約は有効なんですよ”と言ったはず」と笑う。「だから、許可をもらうのはとても簡単でした」。
ところが、撮影前からスピルバーグに話をつけていたことを知らず、長らく気を揉んでいた人物がいる。プロデューサーのアディッティア・スードは、米SYFY Wireにて「クリスとフィルがスピルバーグに会ったのは知っていましたが、アイデアを提案されたことは知りませんでした」と明かした。
「ライアン(・ゴズリング)が『未知との遭遇』のテーマを歌うシーンを撮影してから18ヶ月間、僕はずっと気にしていたんです。“ジョン・ウィリアムズから許可をもらわなきゃ、スティーブンにも確認しなきゃ”と。(プロデューサーの)エイミー・パスカルはスティーブンと親しいので、彼女に任せようと思っていました。彼女ならなんとかしてくれるだろうと。」
それでも、ロード&ミラー自身でさえ製作終盤まで権利関係を気にしていたというから、やはり既存楽曲の引用は繊細な問題なのだろう。巨匠のアイデアがさりげなく実を結んだ、SF映画の“継承”というべき、ささやかな名シーンである。
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Source: Happy Sad Confused, SYFY Wire


























