初代カーク船長役ウィリアム・シャトナー、『スター・トレック』最大の後悔は『スター・トレック5』を監督したこと ─ 「心の準備が出来ていなかった」
『スター・トレック』シリーズの初代ジェームズ・T・カーク船長役でおなじみのウィリアム・シャトナーが、1989年公開の『スター・トレック5/新たなる未知へ』で監督を務めたことが一番の後悔だと明かした。
オリジナルドラマシリーズ「スター・トレック/宇宙大作戦」(1966-1969)や映画シリーズ6作に出演したシャトナーは、自身が主演したドラマ「パトカー・アダム30」(1982-1986)の10話でエピソード監督を務めた後、『スター・トレック5』で長編映画監督デビューを飾った。
米The Hollywood Reporterのインタビューに応じたシャトナーは、「1989年に巨額の予算をかけた長編映画『スタートレック5』を監督しましたよね。本作は残念な映画だと考えられていますが、今でもファンがいます。世界中で映画を撮影することで、トレック映画の可能性を広げたいと願っていたのですか?」と質問されると、こう答えている。
「自分がしなければと感じたことをするための後ろ盾と勇気があればよかったのですが。僕のコンセプトは、“『スター・トレック』が神を探しに行く”だったのですが、経営陣に、“それで神とは誰ですか?神を信じない人を遠ざけてしまうから、神はダメです”と言われました。すると誰かが、“自分を神だと思っている宇宙人はどうするんですか?”と言って、 それからは経営陣や予算との折り合いがつかずに自分の力不足が続きました。」
映画で自分がやりたかったコンセプトとスタジオの板挟みになり、身動きが取れない状態になってしまったようだ。「失敗してしまいました。自分の中では大失敗したと思っています」と続けたシャトナー。「“一番後悔していることは何ですか?”と訊かれたら、“大作映画を手がける心の準備が出来ていなかったことを後悔している”と答えるでしょうね。つまり自分の力が無いなか、権力の真空が、自分が下したであろう決断を下さなかった人たちで満たされてしまったんです」と説明した。
“権力の真空”とは、「何者かが事象の統制を失い、誰も代わりがいない状態」を意味する言葉。『スタートレック5』の撮影現場が、どれほど混乱していたかが想像できるのではないか。
シャトナーは、『スター・トレック5』での経験をキャリアにおける黒歴史と見なしているようだが、その後にテレビ映画『サイバードラッグ/テクウォーVOL.1「ウォー」』(1994)で再びメガホンを取り、自身が主演したSFホラー映画『ザ・コンタクト』(2002)や「クロニクル 倒錯科学研究所」(1997)のエピソードなどでも監督を務めた。
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Source:The Hollywood Reporter