『スーパーガール』苦戦、二つの要因 ─ (1)マイナーキャラ映画化の難易度(2)アメコミ映画はZ世代向けではなくミレニアル世代向けだ

DC映画『スーパーガール』の本国興行が厳しい局面を迎えている。北米では公開初週末に3,710万ドルでスタートしたが、公開2週目には960万ドルにとどまり、前週比74.1%の大幅ダウン。現時点で北米累計は5,850万ドル、世界累計は1億50万ドルとなっている。
2023年のDC映画『ザ・フラッシュ』は2週目に72.5%減、マーベル・スタジオ『マーベルズ』は78.1%減、ソニー/マーベル『モービウス』は約74%減を記録していた。『スーパーガール』の74.1%減は、これらと同等クラスの急落である。
もちろん、2週目の下落率だけで作品の価値やシリーズの将来性を断じることはできない。大作映画は初週末に熱心なファンが集中しやすく、ジャンル映画はもともとフロントロード型(公開初週・初日に観客が集中し、その後の落ち込みが大きい興行パターン)になりやすい。さらに『スーパーガール』は『トイ・ストーリー5』などファミリー向け大作との競合もあり、公開時期の不運もあった。
では、何が問題だったのか。ひとつの論点は、アメコミ映画における“マイナーキャラクター”の難しさだ。
スーパーガールは、一般的にはスーパーマンの関連キャラクターとして認知されている。決して無名ではないが、バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン、スパイダーマンのように、ファンダム以外の観客をも即座に動かせる存在かといえば別問題だ。新生DCユニバースは、『スーパーマン』に続く劇場映画第2弾として『スーパーガール』を選んだ。これは、ジェームズ・ガンがマーベルで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という当時は一般知名度の高くなかったチームを人気シリーズへ押し上げた実績を思えば、十分に理解できる戦略だった。
実際、かつてのマーベル・シネマティック・ユニバースは、アイアンマンやアントマン、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーなど、映画以前当時の一般知名度が必ずしも絶大ではなかったキャラクターを次々とポップカルチャーの中心へ引き上げた。だが、その成功はキャラクター単体の力だけではなく、「次も観たい」と思わせるブランドへの信頼、作品ごとの新鮮さ、そしてユニバース全体が上昇気流にあった時代性に支えられていた。
現在は状況が違う。マーベルもDCも、ユニバース作品の蓄積が“期待”であると同時に“宿題”にもなっている。観客は、知らないキャラクターの映画に対して「新しい発見がありそう」と思う前に、「またシリーズの一部を追わなければいけないのか」と感じることがある。
しかも近年は、『エターナルズ』『マーベルズ』『マダム・ウェブ』『ザ・フラッシュ』など、メインストリーム外のキャラクターやスピンオフ的な企画が興行面で苦戦する悪印象が続いた。『サンダーボルツ*』も公開2週目の下落率は約56%に踏みとどまったものの、オープニングは7,600万ドル、2週目は3,310万ドルで、MCU全盛期のような爆発的ヒットとは言い難かった。
一方で、『スーパーマン』はヒットした。今夏公開予定の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』も、大ヒットが確実視されるタイトルだろう。だが、スーパーマンもスパイダーマンも、説明不要の超有名キャラクターである。今の問題は、誰もが知っている看板キャラクターではない作品に、観客がどこまで付き合ってくれるのかだ。『スーパーガール』は、その問いに対する厳しい実例となってしまった。



























