『スーパーガール』苦戦、二つの要因 ─ (1)マイナーキャラ映画化の難易度(2)アメコミ映画はZ世代向けではなくミレニアル世代向けだ

もうひとつの論点は、若年層、とりわけZ世代との距離である。米The Hollywood Reporterはとあるスタジオ幹部の声として、「Z世代はスーパーヒーロー映画に関心がない。このジャンルはミレニアル世代のものだ」と紹介している。どういうことか。
米Deadlineによると、『スーパーガール』の初週末観客は25歳以上男性が41%を占め、25歳未満女性は15%にとどまった。TheWrapも、観客の59%が男性、65%が25歳以上だったと報じている。若い女性層を大きく取り込めなかったことは、女性ヒーロー映画としても、若い主演俳優を前面に押し出した新生DC作品としても痛い。
対照的に、今年の北米興行では、若い観客をつかんだ作品が大きな存在感を示している。YouTube発のホラー映画『バックルームズ』は、初週末に若年層が圧倒的な割合を占めたと報じられ、観客の86%が35歳未満、半数以上が25歳以下だったと伝えられている。また、同じく若い作り手によるホラー『オブセッション 災愛』も、低予算ながら大ヒットとなった。『オブセッション 災愛』の監督カリー・バーカーは26歳、『バックルームズ』のケイン・パーソンズは20歳。いずれもオンライン動画文化を出発点に観客との接点を築いた。
ここで見えてくるのは、「Z世代は映画館に来ない」のではなく、「Z世代は自分たちの文脈に接続している映画なら来る」ということだ。『バックルームズ』や『オブセッション 災愛』は、SNS、YouTube、インターネット都市伝説、ショート動画的な身近な感覚と地続きにある。観客はそれらを“宣伝で知った映画”としてではなく、“自分たちのネット文化が劇場に拡張されたもの”として受け止めている。
その点で、アメコミ映画は少し難しい位置に来ている。2000年の『X-メン』、2002年の『スパイダーマン』以降、現代的なアメコミ映画は約四半世紀にわたってメジャー娯楽の中心にあり続けてきた。MCUが本格化した2008年の『アイアンマン』から数えても、すでに18年近い。つまり、いまのZ世代にとってアメコミ映画は「新しいもの」でも「自分たち世代を反映するもの」でもなく、むしろ親世代、あるいはミレニアル世代が熱狂してきた巨大ジャンルとして見えている可能性がある。
スパイダーマンのように、世代を超えて強いキャラクターは今後も若年層を引きつけるだろう。『デッドプール&ウルヴァリン』(2024)のように、イベント性とキャラクター人気が噛み合えば大きな熱狂も起こせる。だが、ユニバースの文脈を前提にした中堅・マイナーキャラクターの映画を、若い観客が自発的に“自分ごと化”するハードルは上がっている。



























