IMAXカメラ、こんなにデカいのか ─ 『オデュッセイア』でノーランはどうやって扱ったのか

クリストファー・ノーラン監督最新作『オデュッセイア』より、長編劇映画史上初となった全編IMAXフィルムカメラ撮影の舞台裏を捉えた特別映像が公開された。巨大な防音装置を取り付けたカメラや、俳優同士の目線を鏡でつなぐ撮影風景とともに、マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイらが前例のない現場を振り返っている。

主人公オデュッセウス役のデイモンは「僕の役者人生の中で最大規模の作品だ。100年前の撮影現場のようだった。カメラはIMAXだけどね」とコメント。実在するロケーションと巨大なセットを用い、最新技術と昔ながらの大規模撮影を組み合わせた現場を端的に表現した。
ノーランは『ダークナイト』(2008)以降、作品を重ねるごとにIMAX撮影の比重を高めてきた。しかし、IMAXフィルムカメラは駆動音が大きく、静かな会話や俳優のクローズアップを同時録音する際の障害となっていた。『オデュッセイア』では、騒音を抑える防音装置「ブリンプ」を導入。今回の映像では、その巨大な装置を実際に運用する模様が確認できる。
IMAX社が開発したのは、次世代IMAXフィルムカメラ「ザ・キーリー」と、複数のIMAXカメラに対応する別体のブリンプ。撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマがKodakに明かしたところでは、会話シーンでは従来型のIMAX MSM 9802をブリンプに収めた仕様を主に使用し、ザ・キーリーも別の撮影に投入したという。

ブリンプだけでも約300ポンド(約136キロ)、カメラを収めた一式は400ポンド弱(約180キロ)。巨大な箱状の装置が俳優同士の視線を遮るため、カメラの両側に精密な鏡を設置し、互いの反射像を見ながら自然に目を合わせられる仕組みも考案された。全編IMAX撮影を実現したのは、単一の新型カメラだけではなく、複数の機材と現場での工夫の組み合わせだったわけだ。
ハサウェイは初めてIMAXカメラを使用した際に「音が大きい!」と驚いたことを回想。ホランドも「あの動作音が現場に鳴り響くんだ。気が散るなと思ってたら、“ブリンプ”が登場した」と語っている。ホイテマは「IMAXカメラは偽らない。この物語は間違いなくIMAXで伝えるべきだ。他の選択肢は考えられなかった」と、神話世界をこのフォーマットで撮影する必然性を強調した。

本作は、ホメロスの英雄叙事詩をもとに、トロイア戦争を終えたイタケの王オデュッセウスが、神々や怪物、荒れ狂う海に阻まれながら家族の待つ故郷を目指す10年間の旅を描く。出演はデイモン、ホランド、ハサウェイ、ロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、サマンサ・モートン、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロンら。
『オデュッセイア』は2026年9月11日(金)全国公開。9月4日(金)から10日(木)まではIMAX先行上映が実施され、最終日の9月10日には5フォーマットによるTOKYOプレミアが開催される。
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