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『インクレディブル・ハルク』ダークでシリアスな続編計画あった ─ 降板のエドワード・ノートン、初期構想とマーベルとの対立を振り返る

マーベル

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の黎明期を彩った映画『インクレディブル・ハルク』(2008)は、いくつもの事情が折り重なったところにある作品だ。ハルクの単独映画はMCUでこの1作のみしか作られていないほか、『アベンジャーズ』(2012)以降、ブルース・バナー/ハルク役の俳優は変更されているのである。MCUにおいて、主役級のヒーローが再キャスティングされた例はほかに存在しない。

『インクレディブル・ハルク』でブルース・バナーを演じていたのは、『アメリカン・ヒストリーX』(1998)や『ファイト・クラブ』(1999)のエドワード・ノートン。コミック版『ハルク』が「大好きだった」というノートンは、当初2部作からなるハルクの物語を求めていたのだという。米The New York Timesにて本人が語った。


「(コミック版を)すごく神話的だと思っていました。僕がやろうとしていたのは、クリストファー・ノーランがバットマンでやったことと同じ路線でしたね。長くて、ダークで、シリアス、そんな要素の入ったハルクをやりたかった。まさにプロメテウス(※)の物語ですよ。」

プロメテウスとはギリシャ神話に登場する神のひとりで、天界にある火を盗み、人類にもたらしたとされる存在。人間でありながら緑の巨人へと変貌する男を、いわば“禁忌の技術”を世界にもたらす存在として描こうとしていたということだろうか。

「僕は2本の映画を作る計画をしていました。オリジンをやってから、自分をコントロールできる男としてハルクを描く。“そういうのが欲しいんだ!”って言われていたんですが、後から、彼らが欲しがっていたものではないことが分かった。だけど素晴らしい時間を過ごしましたよ。ケヴィン・ファイギとも仲は良かったですしね。」

エドワード・ノートン
Photo by David Shankbone https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ed_Norton_Shankbone_Metropolitan_Opera_2009.jpg Remixed by THE RIVER

とはいえ、『インクレディブル・ハルク』完成前からノートンとマーベル・スタジオ側の衝突は始まっていたとされ、同作の脚本はノートンがノークレジットで改稿にあたっている。その後、2010年には、ノートンが『アベンジャーズ』に出演しないことが発表された。当時、ケヴィン・ファイギ社長が発表したコメントは、ノートンが言うところの「仲は良かった」人物を送り出す文章とは思えぬ辛辣さだったのである。

「我々は、『アベンジャーズ』でブルース・バナー役を演じる俳優としてエドワード・ノートンを復帰させない判断を下しました。この判断は、金銭的な要因ではなく、創造性と、才能ある出演者との協調性を示す俳優を求めることに基づくものです。ロバート・ダウニー・Jr.やクリス・ヘムズワース、クリス・エヴァンス、サミュエル・L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソンら優秀な出演者の全員が証明するように、『アベンジャーズ』にはアンサンブルの一員として仕事に邁進する俳優が必要です。」

当時からノートン側はマーベルの声明に反論していたが、今回のインタビューでも、ノートンはこのコメントを「酷いものだった。ブランドを守るとか、そういうことですよね」と振り返り、対立の原因についてこう述べている。

「最終的に彼らは、長くて、ダークで、シリアスな方向には行かなかった。だけどそれは問題ではありません。僕らは映画のために前向きな話し合いをしたし、(『ハルク』が実現していたら)必要だったであろう時間についても検討した。そして、それは僕がやろうとしていたものではなかったんです。正直に言えば、彼らが払うつもりだった以上のギャラをもらいたかったですよ。だけど、たくさんギャラがもらえるからハルクの新作をやりたかったんじゃない。僕がやりたかったこととは違ったということです。」

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)を経た今、ノートンはファイギ社長の仕事について「エンターテイメント業界の歴史上、おそらく最もよくできたビジネスプランのひとつ」だと形容。MCUの作品面については「コメントしません」とした上で、「ケヴィンには素晴らしいアイデアがあった。だけど、それはトーンの面でも、テーマの面でも、僕が時間をかけてやりたかったこととは一致しなかったんです」と語った。

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Sources: The New York Times, AV Club

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。国内舞台作品の執筆・創作にも携わっています。ビリー・アイリッシュのライブに行きたい。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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