『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』エイリアン要素、スピルバーグ&ハリソン・フォードも納得せずルーカスと対立していた

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)をめぐる、長年の賛否両論の核心に新たな証言が加わった。シリーズ第4作で大きな物議を醸した“エイリアン”要素について、主演のハリソン・フォードと監督のスティーブン・スピルバーグは「100%賛成ではなかった」という。
『クリスタル・スカルの王国』は、前作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)から19年ぶりに製作されたシリーズ第4作。時代設定は1957年となり、ナチスではなく冷戦下のソ連が敵として登場する。
物語は、謎の水晶髑髏をめぐる冒険として進み、終盤ではその正体が古代文明と結びついた“異次元存在”に由来するものだったことが判明。巨大な円盤状の乗り物が空へ飛び立つラストは、観客の間で「インディ・ジョーンズに宇宙人はアリなのか」という大きな議論を呼んだ。
厳密には、劇中で彼らは単なる宇宙人ではなく「異次元から来た存在」として説明されている。しかし、細長い体つきの生命体や円盤型の飛行物体といった描写は、いわゆる“エイリアン映画”のイメージそのものだった。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)では聖櫃、『魔宮の伝説』(1984)では秘石、『最後の聖戦』では聖杯と、これまでのシリーズが宗教的・神秘的な超常現象を扱ってきたこともあり、第4作のSF色はファンの間でとりわけ強い違和感をもって受け止められた。
米Vultureによるスティーブン・スピルバーグの大規模オーラルヒストリーで、プロデューサーのキャスリーン・ケネディは、『クリスタル・スカルの王国』の製作が難航していたことを振り返っている。撮影監督ヤヌス・カミンスキーにとっても難しい作品だったとしたうえで、ケネディは「スティーブンは苦しんでいたし、ハリソンも苦しんでいました」と証言。2人は「エイリアンが登場する『レイダース』映画」をやりたがっておらず、その点で原案・製作総指揮のジョージ・ルーカスと衝突したという。
ルーカスの構想は、1950年代という時代背景に合わせ、当時のUFOブームやSF映画の空気をインディ・ジョーンズに持ち込むことだった。ルーカスは本作を『宇宙戦争』のような方向性にしたかったと回想している。しかしフォードもスピルバーグも「もうSF映画はやらない」と反対。ルーカスは「1950年代は空飛ぶ円盤の時代だからぴったりだ」と説得したが、すぐには受け入れられなかった。
その後、脚本は複数稿を重ね、最終的にルーカスとスピルバーグは妥協点を見つける。すなわち、「エイリアンではなく、別次元から来た存在にする」という案だ。これが完成版の“異次元存在”という設定につながった。
もっとも、ケネディによれば、最終的には全員がルーカスの望む方向へ進むことになったものの、フォードとスピルバーグが完全に納得していたわけではなかった。「ハリソンとスティーブンは100%賛成ではありませんでした」とケネディは語っている。彼女はさらに、スピルバーグが監督した4本の『インディ・ジョーンズ』映画の中で本作が最も弱い作品になった理由も、そこにあったとの見方を示した。
一方で、皮肉なことに、ラストで円盤状の乗り物が飛び立つ場面を入れたのはスピルバーグだったという。ルーカスによれば、スピルバーグは「彼らは別次元に行くのだから、そこへ行く手段が必要だ」と説明したが、ルーカスは「それは空飛ぶ円盤に見える」と感じたという。
『クリスタル・スカルの王国』は公開当時、世界興収で成功を収めた一方、冷蔵庫で核爆発を生き延びる場面や、シャイア・ラブーフ演じるマットのアクション、そして終盤のエイリアン的展開をめぐって議論を呼び続けてきた。特にラストのSF要素は、シリーズが長年築いてきた冒険活劇としてのトーンから逸脱したと感じる観客も多かった。
ケネディは、フォードがその後『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)に強い思い入れを持って参加した理由についても触れている。『クリスタル・スカルの王国』を最後にしたくなかったのだという。結果として第5作は、スピルバーグではなくジェームズ・マンゴールドが監督を務め、フォードにとって最後のインディ・ジョーンズ作品となった。
こうした『クリスタル・スカルの王国』をめぐる複雑な評価は、関係者や映画人の発言からもたびたび話題になった。脚本を手がけたデヴィッド・コープは、後年に本作について「決して満足していない」と率直に語っており、シリーズの中でもとりわけ難しい1本だったことを認めている。一方で、クエンティン・タランティーノは『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』を好まず、むしろ『クリスタル・スカルの王国』の方を支持するという意外な見解を示したこともある。ハリソン・フォード自身も、本作への批判について「みんな、それぞれの意見を持つ権利がある」と受け止めており、賛否両論もまた『インディ・ジョーンズ』という巨大シリーズの一部になっている。
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Source:Vulture


























