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『マトリックス レザレクションズ』スミス&モーフィアス、俳優交代の舞台裏を脚本家らが語る ─ 「モーフィアスの一新は最初から決まっていた」

マトリックス レザレクションズ
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伝説的シリーズ『マトリックス』の18年ぶりとなった最新作『マトリックス レザレクションズ』には、かつての3部作を支えた主要キャストふたりが復帰していない。モーフィアス役のローレンス・フィッシュバーンと、エージェント・スミス役のヒューゴ・ウィーヴィングである。なぜ、ふたりは最新作に戻ってこられなかったのか?

『レザレクションズ』でモーフィアスとスミスを演じたのは、それぞれヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世とジョナサン・グロフ。再キャスティングに至っては、ローレンスは「私は呼ばれていない」とオファーがなかったことを明かしており、ヒューゴはスケジュールの都合で復帰が叶わなかった(脚本の読み合わせには参加していた)ことがわかっている。すなわち、ふたりが復帰しなかったことには別々の理由があるのだ。

「モーフィアスを新しくすることは最初から決まっていた」と語るのは、ラナ・ウォシャウスキー監督とともに脚本を執筆したアレクサンダル・ヘモン。米Gizmodoでは、モーフィアスの設定を一新すること、したがってローレンスが復帰できないことが本作の前提だったことがはっきりと認められている。ただし、ヘモンはこのようにも述べた。

「キアヌ・リーブスとキャリー=アン・モスが参加することは知っていたし、ふたりがいなければ本作は実現しなかったでしょう。その一方で、私の少ない経験から言っても、映画製作は“不測の事態”の世界なんだと思います。知られていることかどうかはさておき、彼らが出るかどうかで変わることがありうる。(脚本の時点では)あの人が演じるんだろうと思って書いた役も、それが実現しないことがありました。それで台詞や何かを大きく変えることはしませんでしたが、“この俳優だ”というイメージで書いたわけです。だから、役柄の中にはその俳優が刻み込まれているんですよ。」

本作のスミスこそ、まさしくヘモンが指摘しているようなキャラクターのひとりだ。プロデューサーのジェームズ・マクティーグは、米Colliderにて「ヒューゴが出られたらそうしていたけれど、うまくいかなかった」と語っている。いわく、ヒューゴ自身のスケジュールの問題に加え、新型コロナウイルスの影響も大きかったという。「普通よりも少々難しい状況で、コロナは常に大きな課題だった」とはマクティーグの談だ。

ただし、ヘモンが「『マトリックス』と本作の前提には違いがあるので、誰が演じてもエージェント・スミスには違いが生まれていたと思う」と話しているように、監督のラナもスミス役については新たなアプローチを採ることにしたようだ。演じたジョナサン・グロフは、米The Hollywood Reporterにて役柄の方向性をこう振り返っている。

「新しいエージェント・スミスのプログラムなのだということは早くにわかっていました。(ラナからは)“全体的にヒューゴ・ウィーヴィングっぽい印象の芝居にはしないでほしい”と言われていたんです。脚本を読むと、“何十億人がこの世界に生きている…”というような台詞があったり、(過去作を思い出す)面白いシーンもある。けれど、彼女は新しいエージェント・スミスを見たがっていましたね。」

ジョナサンが演じたスミスについて、ヘモンは「素晴らしかった。執筆中には予想もできなかった一面を加えてくれましたし、情緒的な部分にもぴたりとハマっていましたね」とコメント。新しいスミス像に大いに満足したことを明かしている。

映画『マトリックス レザレクションズ』は全国公開中。

Source: Gizmodo, Collider, The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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