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パラマウントのワーナー買収にハリウッド著名人1400名以上が「断固反対」署名 ─ パラマウント側も声明、双方の主張は

パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収について、映画監督、ドキュメンタリー制作者、映画・テレビ業界の関係者ら1,476人以上が、「断固反対」の公開書簡に署名した。

「この取引は、すでに進んでいるメディア構造の集中化をさらに進め、我々の業界、および我々が仕える観客にとって最も厳しいこの時期に、競争力を弱めることになる。結果として、クリエイターへの機会が減少し、制作エコシステム全体での仕事が減少し、コストは高騰し、米国および世界中の観客の選択肢が狭まることになる。憂慮すべきことに、この合併によって米国の主要スタジオの数はたった4社に減少してしまう。」

このように伝える書簡では、映画・テレビ業界はすでに過去の統合の波によって深刻な打撃を受けているとも指摘された。製作・公開される映画の本数は大きく減少し、資金提供や配給の対象となる物語の幅も狭まりつつあるという。少数の巨大企業が「何を作るか」「どのような条件で作るか」を決定する状況が強まり、クリエイターや独立系企業が活動を維持する道筋はますます限られているとした。

さらに、メディア統合は中規模予算映画の減少、独立系配給の衰退、国際セールスマーケットの崩壊、利益参加の縮小、スクリーンクレジットの信頼性低下を加速させてきたと主張。こうした流れは、創作コミュニティ全体の持続可能性を脅かすだけでなく、全米各地の地域経済に根ざした中小企業や独立系企業で働く何万人もの労働者の生活にも影響すると懸念を示している。

また書簡では、この合併を支持する動きについて、一部の強い立場にある利害関係者の利益が、より広い公共の利益より優先されている可能性があると問題視。合併が実現すれば、業界の健全性、独立性、多様性が大きく損なわれると訴えた。

「健全な経済と健全な民主主義には、競争が不可欠である」と強く伝える本書簡は、慎重な規制と法執行もまた必要だと強調している。そのうえで、カリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタ氏や他州の当局者が、この合併案を精査し、阻止に向けた法的措置を検討していると報じられていることに言及。そのリーダーシップに謝意を示しつつ、競争の維持、雇用の保護、そして業界と米国文化の活力ある未来を守るためのあらゆる取り組みを支持する姿勢を明らかにしている。

人気ドラマ「LOST」(2014-2010)などで知られる脚本家・プロデューサーのデイモン・リンデロフはInstagramを更新し、この書簡について言及。書簡について「もちろん賛成」と述べつつ、そのことを公にすることに恐怖を覚えたと明かしている。「恐怖とは恥ずかしいものだ。『プライベート・ライアン』でボートの中に吐いているような男には誰もなりたくない。ビーチに突撃する男になりたいものだ。それでは、なぜ私は恐れていたいのか?」

リンデロフは、自身の恐れについて、業界内で“厄介者”と見なされることや、15年間拠点としてきたワーナー・ブラザースの撮影所から締め出されることへの不安があったと率直に明かしている。どうせ避けられない合併に異を唱えても意味はなく、公開書簡に署名したところで、絶え間ないニュースサイクルの中でかき消されるだけではないか……そんな思いもあったと振り返っている。

しかし考え直したという。ハリウッドは一部のスターや著名クリエイターだけの場所ではなく、照明、美術、運転手、建設スタッフ、ブームオペレーター、撮影班、ケータリングなど、何千、何万という現場の働き手によって成り立っている“ブルーカラーの街”でもある。スタジオ同士の合併は、映画やドラマの本数を減らし、そのまま仕事の減少につながる。名門スタジオのバックロットが同じ会社の所有になれば、どちらか一方が“ゴーストタウン”のようになる結末は想像に難くない、というのがリンデロフの考えだ。

現在、署名に賛同している主な著名人の一部は次のとおりだ。アダム・マッケイ、アラン・カミング、アツコ・オカツカ、ベン・スティラー、ブライアン・クランストン、デイモン・リンデロフ、デヴィッド・フィンチャー、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ドン・チードル、エリオット・ペイジ、エマ・トンプソン、グレン・クローズ、ヘイリー・ジョエル・オスメント、ジェーン・フォンダ、J・J・エイブラムス、ハビエル・バルデム、ジェイソン・ベイトマン、ホアキン・フェニックス、ジョナサン・グレイザー、ジョン・キューザック、ジョン・レグイザモ、クリステン・スチュワート、リン=マニュエル・ミランダ、マーク・ラファロ、マリサ・トメイ、マット・ディロン、ペドロ・パスカル、ロザリオ・ドーソン、ザンドラ・ヒュラー、ヨルゴス・ランティモス。

そのほかリストはblockthemerger.comで誰でも確認することができ、また署名に参加することもできる。

なお、パラマウント側は今回の公開書簡を受け、一部のクリエイターコミュニティから懸念の声が上がっていることは認識しており、創造性を守り、広げようとする姿勢には敬意を示すと表明した。

業界はいま、コロナ禍や巨大テック企業の参入、消費者行動の変化によって大きな転換期にあり、十分な資本力を持つ企業が物語への投資を続けることがこれまで以上に重要になっているというのが同社の立場だ。今回の取引によって、より多くの企画を実現し、大胆なアイデアを支え、クリエイターにより多くの活躍の場を提供できるとしている。

また、年間30本以上の劇場公開映画の製作、コンテンツ供給の継続、象徴的ブランドの独立したクリエイティブ体制の維持を改めて約束し、今回の統合は競争と選択肢を弱めるのではなく、むしろ強めるものだと強調した。

パラマウント・スカイダンスは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー買収について、現時点で2026年第3四半期の成立を見込んでいる。ただし、4月23日に予定される株主承認に加え、米英当局による審査が控えており、正式成立にはなおハードルが残されている。

Source:blockthemerger.com

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Joe Kishi

THE RIVER編集部。ハリウッド大作からインディー作品、アニメーションまで幅広くカバー。魂を揺さぶる瞬間に出会える記事を届けたい。

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