【考察】『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』ピーターはどうやって生活していたのか? ─ ナゾの収入源について考える

MJとネッドはMITに進学し、キャンパスライフを謳歌していた。ピーターは進学が叶わず、SNSを通じて2人の様子を見守るのみだ。それ以外の時間、ピーターはニューヨーク市警のジーン・デウォルフ刑事と連携を取りながら、ひたすらに悪党たちとの戦いに明け暮れている。

ここで疑問となるのが、ピーターは何を収入源として生活を続けているのかということだ。例えばサム・ライミ版『スパイダーマン』トビー・マグワイアのピーター・パーカーはフリーランスのカメラマンとしてデイリー・ビューグル紙に写真を納品していたほか、『スパイダーマン2』ではピザ屋の配達アルバイトにも勤しんだ(クビにされたが)。『アメイジング・スパイダーマン2』でのアンドリュー・ガーフィールド版ピーターも、スパイダーマンの写真をデイリー・ビューグルに売っていることが示されている。
しかし今作のピーターには、働いている様子はおろか、収入源をうかがわせる描写すらなかった。

ピーターは独自のテクノロジーを追求するために、「アスベストのひどい」倉庫部屋を借りて、コンピューターや各種ガジェットを並べ、独自の研究設備を整えている。こうした機材を調達する資金も必要なはずだし、自室や倉庫部屋をどれだけ格安で借りられたとしても、ニューヨークの家賃相場は高額だ。そのほか、物価の高いニューヨークでの食費や光熱費、通信費も当然ながら発生する。
一体、ピーターはどうやってニューヨークでの生活を維持していたのだろうか?いくつかの可能性を考えてみたい。
まず考えられるのが、前作『ノー・ウェイ・ホーム』で死亡したメイおばさんが残した遺産や生命保険金である。前作でメイは突然命を落としており、ピーターを受取人とする生命保険や、預貯金などの遺産が残されていた可能性はある。

ただし、それだけで4年間の生活費と研究費を賄えたとは考えにくい。メイがピーターに巨額の財産を残せるほど裕福だったことを示す描写はなく、ニューヨークで部屋を借りながら、倉庫まで確保し、高性能なコンピューターや実験機材を揃えるとなれば、相当な資金が必要になる。
続いて考えられるのは、トニー・スタークから遺産の一部を受け継いでいた可能性だ。トニーは生前、ピーターに高価なスーツや人工知能、衛星システムまで託していた。教育資金や生活費を用意していたとしても、その人物像からして不自然ではない。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、「予期せぬ死に備えて」愛娘へのホログラムメッセージも残していたほど用意周到なトニーである。生前、莫大な資産をどのように配分するかを考えていたはずで、自身が見出した若き才能であるピーターに、その一部を与えようとしていたとしてもおかしくない。

もっとも、まだ若かったピーターにまとまった資産を一括で渡すよりも、学費や生活費などを必要に応じて受け取れる信託を設けていたと考える方が自然だろう。ピーターはトニーを心から敬愛していたので、受け継いだ資産にはできるだけ手をつけず、トニーの遺志を継いだヒーロー活動に集中できる最低限の金額だけを受け取りながら、質素な生活を送っていたのかもしれない。
ただし、この場合は『ノー・ウェイ・ホーム』後に不都合が生じる。世界中の人々がピーター・パーカーの存在を忘れてしまったため、トニーの資産を管理する担当者も、ピーターとの関係を覚えていないはずだからだ。
信託契約や過去の支払い記録に「ピーター・パーカー」という名前が残っていたとしても、担当者からすれば、トニーがなぜ見ず知らずの青年を受益者に指定したのか分からない。もちろん、担当者がピーターのことを知らないというだけで、信託の条件を無視して勝手に受益者から外すことはできないだろう。
しかし、本人確認や給付の根拠を改めて精査するため、支払いが一時的に保留されることは考えられる。特に、一定額が自動的に振り込まれる仕組みではなく、受託者が生活費や学費の必要性を確認し、その都度給付の可否や金額を判断するよう信託文書に定められていた場合だ。
トニーが慈善的な目的から複数の若者を受益者に指定していたのでもない限り、彼との関係が一切思い出せない青年への継続的な給付記録は、担当者の目にも異例に映っただろう。書類上は正当な受益者でありながら、なぜトニーが支援していたのかを誰も説明できないとなれば、給付の経緯が調査されても不思議ではない。
逆に、魔術の後も資金が問題なく支払われ続けていたとすれば、トニーが設計した資産管理システムが、人間による判断をほとんど介さず、契約や本人認証に基づいて自動的に給付を続けていたのかもしれない。人工知能を駆使していたトニーなら、あり得ない話ではない。
最も現実的なのは、映画で描かれていない時間に、ピーターが何らかの仕事をしているという可能性だろう。



















