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『オデュッセイア』黒人キャスティングにイーロン・マスクらが攻撃、ノーランは「映画を観る前の議論はすべて的外れ」と一蹴

オデュッセイア
LONDON, ENGLAND - JULY 06: Lupita Nyong'o attends 'The Odyssey' London Premiere at Odeon Luxe Leicester Square on July 06, 2026 in London, England. (Photo by Jeff Spicer/Getty Images for Universal Pictures)

クリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』は、今夏もっとも大きな期待が寄せられている作品であり、早くからさまざまな攻撃を受けてきた作品でもある。

主な攻撃対象となったのがキャスティングだ。詩人ホメロスによる古代ギリシャ叙事詩を原作とする本作で、トロイア戦争の引き金となった女性・ヘレネ役と、英雄アガメムノンの妻クリュタイムネストラ役を演じるのは『ブラックパンサー』シリーズのルピタ・ニョンゴ。保守系のコメンテーターや、イーロン・マスクをもSNS上での攻撃に加わった。

また、戦士シノン役をトランスジェンダーの俳優エリオット・ペイジが演じることや、吟遊詩人役にトラヴィス・スコットが起用されたことも攻撃の対象となっているほか、先日取り上げた現代アメリカ英語のセリフや、美術や衣裳デザインの歴史的正確性についても議論が巻き起こっている。専門家たちは称賛を贈っているものの、攻撃者による煽りを受け、一部でバックラッシュが広がっていることは確かだ。

こうした事態を、ノーランはどう受け止めたのか。

The Telegraphの取材では、「それも仕事のうち」と穏やかに笑った。「けれど、映画を観る前に巻き起こる議論は、必ず的外れなものです。議論をしている人は誰も、その映画が実際にどういうものかを知らないのだから」。

そもそもノーランは、『オデュッセイア』の映画化が、善意であれ悪意であれ、強烈な反応を呼び起こすことを承知していたという。ノーランが本作について語るとき、よく引き合いに出すのが、バットマンを映画化した『ダークナイト』3部作だ。ジョーカー役にヒース・レジャーを起用する判断さえ、公開前には一部の批判を招いた。

「『バットマン ビギンズ』(2005)に参加したとき、ライターやアーティストたちが、この愛すべきキャラクターに65年ほど関わっていて、彼が象徴するものについての思考がたくさんありました。あの3部作に関わるなかで学んだのは、“何ひとつまったく気にしてはいけない”ということ。必要なのは、自分にできる最も強い方法で解釈することによって、原典への敬意を払うことです。」

もっとも当時、コミックのファンたちは、「自分たち(ファン)ならしないであろう選択をも含めて、私たちがなるべく最善の作品をスクリーンに映し出そうとする試みの誠実さを楽しんでくれた」という。

『オデュッセイア』でも、ノーランは観客が同様の反応を示してくれることを望んでいる。

「私にできるのは、できるだけ誠実なかたちで、できるだけ最高の映画を作ることだけです。別の誰かとはまったく違ったやり方ではありますが、それこそが翻案というものです。」

映画『オデュッセイア』は2026年9月11日(金)全国公開。

Source: The Telegraph

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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