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【ネタバレ解説】「ホワット・イフ…?」第8話&第9話の注目ポイント ─ マーベル・シネマティック・ユニバースの今後を示唆か

ホワット・イフ…?
(C)2021 Marvel

この記事には、「ホワット・イフ…?」第8話『もしも…ウルトロンが勝ったら?』&第9話『もしも…ウォッチャーが誓いを破ったら?』のネタバレが含まれています。

ホワット・イフ…?
(C)2021 Marvel

『スター・ウォーズ』『ドラゴンボールZ』のオマージュ?

第8話『もしも…ウルトロンが勝ったら?』で、ウォッチャーとウルトロンは次元を突き破って様々な世界で戦いを繰り広げる。その場面で『スター・ウォーズ』や『ドラゴンボールZ』へのオマージュらしき描写が見られるのだ。

ウルトロンに存在を知覚されてしまったウォッチャーがはじめに突き飛ばされる、傘が連なったキノコのような植物(または岩か苔)が地面からにょきにょきと伸びる湿地のような世界。この景色が、「フェルーシア」と呼ばれる『スター・ウォーズ』の惑星とよく似ていると指摘されている。映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)では「オーダー66」発令の場面で、アイラ・セキュラ(青い肌を持つトゥイレック女性のジェダイ)が射殺されてしまう舞台となったほか、アニメ「クローン・ウォーズ」のクローン戦争でも戦地となり、ゲーム『Star Wars バトルフロント II 』のステージにもなった惑星だ。

その直後、ウルトロンの能力によって景色が吹き飛ばされ、砂漠のような景色が果てしなく広がる。あたり一面の黄土色に、紫がかった青空、そして浮かぶ複数の惑星……。これは『ドラゴンボールZ』でよく見られる景色に似ているのではないか?この世で一番強いヤツを決めるような、神と神のドッカンバトルが繰り広げられた「ホワット・イフ…?」で、製作陣はもしかして『ドラゴンボールZ』へのオマージュを捧げていたのだろうか?

続いて、ウルトロンのさらなる猛攻に耐えたウォッチャーは、黄金のスーツをまとい覚醒。ウルトロンと怒涛の肉弾戦を繰り広げると、マルチバースの壁を突き破っていくつかの世界を貫通してゆく。そこに写る、3つ目の世界に注目してほしい。マグマが流れる火山のような世界……。これは『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーが運命の戦いを繰り広げた、灼熱の惑星ムスタファーにそっくり。後にダース・ベイダーが自らの城も築いたこのムスタファー、火山地帯に鉱業施設も立てられているが、「ホワット・イフ…?」で見られた景色も、これらとよく似たシルエットなのだ。

もちろんこれらは、マーベル・ユニバースに『ドラゴンボールZ』や『スター・ウォーズ』の世界が含まれていた、ということを必ずしも意味するものではない。製作陣のさりげない遊び心として、これらに似せた景色を描いていたにすぎないものだろうし、これに気付いたファンが「似ている」と喜んでいるだけの段階だ。今後、製作陣によって真相が明かされることに期待したい。

ギャラクタス?

「ホワット・イフ…?」第8話でマーベル・ファンが最も驚いたのが、このウォッチャー対ウルトロンの場面で、ウルトロンが「ギャラクタス」のように見えたところだろう。ウルトロンの猛攻を受けたウォッチャーが空を見上げると、巨大化、いや、概念化したウルトロンが、銀河にまるごとかぶりつく。人知を超えた巨大なサイズに、頭から伸びた角のような装飾、赤紫の姿……奇しくも、マーベル・ユニバース最強クラスのヴィラン、ギャラクタスとそっくりに見えるのである。

ギャラクタスとは、「惑星の捕食者」との異名通り、惑星そのものを餌にする「コズミック・ビーイング」のひとり。コミックでも常に最大級のヴィランとして描かれるほか、ゲーム『MARVEL VS. CAPCOM 3』にもラスボスとして登場。巨大な身体でステージに現れ、ヒーローたちを指先で弾き飛ばす規格外の強さを見せた。

サノスを倒したマーベル・シネマティック・ユニバースで、ギャラクタスは征服者カーンと並んで、次なる“ラスボス級”ヴィランとして登場するのではないかと目されている。「ホワット・イフ…?」で描かれたマルチバースのウルトロンがギャラクタスの代わりとして登場するのか、それともただのイースターエッグなのか?ファンは今後の強大ヴィランの存在を、この一場面で嗅ぎ取っているのだ。

シュマゴラス?

「ホワット・イフ…?」の配信が開始された頃よりファンの間で話題に挙がっていたのが、シュマゴラスの存在だ。タコやイカなどの軟体類のようにいくつもの足が伸び、大きな一つ目が不気味なヴィラン。コミックでは『ドクター・ストレンジ』作品に登場する、異次元を移動する「混沌の神」である。もともとコミックでの知名度も高いほうではなかったが、1995年のゲーム『マーヴル・スーパーヒーローズ』(まだMARVELのカナ表記が“マーヴル”だった時代だ)に登場したことで知名度アップ。その後の『MARVEL VS. CAPCOM』シリーズでも常連となっている。日本のファンからは「シュマちゃん」と呼ばれる、裏番長のようなキャラクターだ。

「ホワット・イフ…?」では、第1話よりタコのような触手がキャラクターを襲う描写があり、これはシュマゴラスなのではないかとファンは考察していた。この触手は第4話『もしも…ドクター・ストレンジが手の代わりに恋人を失ったら?』でも、ストレンジの分身体の元に登場。その力を吸収しようと考えたストレンジは、一度は叩きのめされるものの、その後様々な悪魔や魑魅魍魎の力を吸収することでパワーアップ。ついに触手を制し、その力を自らのものとする。最終話でも、ウルトロンとの決戦で重要な一撃を加えることとなった。

この触手生命体の全貌こそ明かされなかったものの、シュマゴラスの身体の一部が異次元から伸びていたという可能性は考えられなくもない。また、「ホワット・イフ…?」で描かれていた世界では、すでにストレンジの分身体がシュマゴラスとして一体化していた、と考えることもできそうだ。

もっとも、「ホワット・イフ…?」キャラクター・デザイナーのライアン・メイナーディング氏が米Comicbook.comに「あれはシュマゴラスなのか」と尋ねられた時には、「ご覧いただいたエピソード以外の部分に関しては何も言えないんです」としながら、触手のアイデアはクトゥルフ神話に登場する邪神クトゥルフに由来しているのだと明かしている。確かにクトゥルフも、「ホワット・イフ…?」に登場したタコのような触手を持つ存在だ。したがって、製作の過程で直接シュマゴラスを参考にした線は薄そうである。

ちなみにファンの間では、シュマゴラスが『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』に実写登場するのではないかと期待する声もある。少なくとも「ホワット・イフ…?」の触手の設定が今後どう転がるか分からないので、注意しておいても良いだろう。決戦の前、ストレンジが触手の動きを制御できていないような様子も見せていたから、なおさらだ。

次のページにも、「ホワット・イフ…?」第9話『もしも…ウォッチャーが誓いを破ったら?』のネタバレが含まれています。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。