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『ボヘミアン・ラプソディ』監督交代劇、後任者の撮影したシーンが判明 ─ 編集担当者ら重要人物が証言

ボヘミアン・ラプソディ
© 2018 Twentieth Century Fox

伝説のロックバンド「クイーン」とフレディ・マーキュリーを描き、2018年を代表する大ヒット映画となった『ボヘミアン・ラプソディ』。しかし、世界中の観客から熱狂的支持を受けた本作の舞台裏は決して穏やかとは言いがたいものだったという。

本作に監督としてクレジットされているブライアン・シンガーは、2017年12月、本撮影の途中で20世紀フォックスから解雇されている。出来事の経緯と真相は語り手によって異なるが、主演のラミ・マレックは「ブライアンとの経験は楽しいものではまったくなかった」として、「クビになるべきだと思っていましたし、実際にそうなった」と述べた


シンガーの後任者として撮影を引き継ぎ、作品を仕上げたのは、映画監督・俳優のデクスター・フレッチャー。その名前は、作品にエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされている。しかし実際のところ、フレッチャーが手がけたシーンは一体どこだったのか?『ボヘミアン・ラプソディ』で編集を担当したジョン・オットマンは、フレッチャーとの共同作業を振り返っている。

この記事では、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の内容に言及しています。

ボヘミアン・ラプソディ
© 2018 Twentieth Century Fox

「We Will Rock You」シーン、後任者が撮っていた

ハリウッドでまれに起こる監督交代劇において、後任を担ったクリエイターの仕事が具体的に伝えられることはあまりない。米Deadlineにてオットマンが語った言葉は、『ボヘミアン・ラプソディ』の舞台裏を知る重要な手がかりといえるだろう。

「彼(フレッチャー)が参加したのは短い期間でした。なので、編集に加わって、自分の撮影したシーンをチェックしたいということでしたね。[中略]
彼はレコーディング・スタジオのシーンもいくつか撮っているんです。最初ではなく、“Another One Bites the Dust”や、“We Will Rock You”のほう。楽曲をいかに構成するかという話があったので、自分のシーンが映画にどう組み込まれているのか、その全体像を知りたがっていたわけです。そこで映画の流れについての意見をもらって、彼は『ロケットマン』を撮るために離脱しました。」

当時、フレッチャーは自身の監督作であるエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン(邦題未定、原題:Rocketman)』を控えていた。どうやらオットマンの言葉を聞くかぎり、フレッチャーは編集作業には全面的に関わることができなかったようだ。

ボヘミアン・ラプソディ
© 2018 Twentieth Century Fox

クイーンのベーシスト、ジョン・ディーコン役のジョゼフ・マゼロは、フレッチャーの撮影シーンについて「映画の冒頭近く、楽しいシーンをたくさん撮ってくれました」と米Entertainment Weeklyに語っていた。「すごく良かったですよ、みんなが自分の強みを活かせたと思います」。

オットマン&マゼロの証言から鑑みるに、フレッチャーは映画冒頭に登場する“レコーディング・スタジオのシーンではない”楽しい場面と、“Another One Bites the Dust”および“We Will Rock You”のレコーディング・シーンを撮影したとみられる。結成直後のクイーンと、フレディやその他のメンバーが少しずつすれ違っていく様子、その両方を描き足す仕事を担ったようだ。

2018年5月、米IndieWireにて、フレッチャー自身は『ボヘミアン・ラプソディ』での役割をこう語っていた。自身がプロジェクトに加わった段階で、本撮影は約3分の2が終わっていたということだ。

「僕は本撮影のラスト数週間に加わったり、編集に参加したり、細々とした仕事をさせていだきました。(作品に)良い提案ができて嬉しかったですよ。けれども本当に大切だったのは、出来上がっているものをきちんと観て、その一部になるということ。何かを変えるとか、一から作り直すとか、そういうことではありませんでした。すでに達成されたことを無視せず、そして傷をつけないことが大事だったんです。」

ボヘミアン・ラプソディ
© 2018 Twentieth Century Fox

フレッチャーが『ロケットマン』のために『ボヘミアン・ラプソディ』を離脱したのち、仕上げ作業を全面的に取り仕切ったのが誰だったのかはわからない。フレッチャー自身も時折戻ってきていたのかもしれないが、有力なのはプロデューサーのグレアム・キング氏ではないだろうか。

驚かされるのは、そうした経緯を経てもなお、『ボヘミアン・ラプソディ』に「ブライアン・シンガー監督作品」らしいテイストがしっかりと残っていることだ。フレッチャーが大幅な変更を意図せず、シンガーの仕事を残すよう努めたことは、そうした結果に大きく作用しただろう。しかしながら「ブライアン・シンガーによる『ボヘミアン・ラプソディ』」を確立させたのは、編集を担ったオットマンの力が大きかったのかもしれない。

映画音楽家としても充実したキャリアを持つオットマンは、シンガーと学生時代から映画製作を続けてきた人物。実はシンガー以外の作品で編集を努めたことはなく、後任者のフレッチャーは、オットマンが編集者として一緒に仕事をした二人目の映画監督だったのだ。現在、シンガーは性的暴行疑惑のために今後の活動が不透明な状況となっている。Deadlineでシンガーについて問われたオットマンは、疑惑については語らなかったものの、「(シンガーと)一緒に映画を作り始めて以来、お互いの好みや感覚には影響を与えあっていると思います」と述べたのだった。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』は大ヒット公開中。

『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

Sources: Deadline, EW, IW

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。国内舞台作品の執筆・創作にも携わっています。ビリー・アイリッシュのライブに行きたい。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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