でも『スパイダーマン2』のMJ目線から見ると、ピーターの方がずっと意味不明なんだよな ─ 彼女だって孤独だった?MJ擁護論

一方、婚約者のジョンはしっかりしているし、もう5回も舞台を観にきてくれている。どう考えてもジョンに軍配である。もしも、ここまでの顛末をMJに聞かされて「ジョンとピーター、どっちがいいと思う?」と相談されたら、あなたも「いやどう考えても絶対ジョンだろ」と答えるだろう。ミステリアスな男は魅力的かもしれないが、ピーターの場合はただの意味不明なのだ。MJ目線からすると。
やがてピーターは密かにスパイダーマンであることを辞め、精神的にも時間的にも余裕ができたことで、ついに(事前予告なしに)MJの舞台観劇に駆けつける。そして、付き合ったこともないけれど「やり直してほしい」とすがりつく。しかし、MJはずっと現実世界を生きている。もうジョンとの挙式の段取りが進んでいる。
ここでMJは「舞台を観にきただけで、結婚をやめろっていうの?」と冗談ぽく言っているが、実際ぐうの音も出ない正論である。ピーターは必死に「僕は変わったんだ!殴られれば血も出る!」と訴える。映画の観客からすれば感慨深いセリフであるが、MJ目線からすれば、これまた意味不明である。案の定、MJは返答に困ってタクシーに飛び乗ってしまう。
ところが、ピーターに“情”はあるMJ。彼の熱心な再アプローチを真に受けて、本当にジョンとの結婚が正しいのかと考え直すようになる。いつも側にいてくれたのはピーターだ。それは事実だ。ぜんぜん本音を話してくれない人だけど、この前のはきっと本心だろう。彼がいつになく真剣な様子で、「僕は変わったから、やり直してほしい!」と持ちかけてくれているのだから……。
そして、ついにだ。彼女は決心したのだ。もう一度ピーターの思いに、応えてみることにしたのだ。話があるからと、自分からカフェに誘い、あの日のピーターの「僕は変わった」という言葉を信じられなかったと詫びる。「あれから、ずっと考えてたんだけど……」と切り出し、MJはピーターへの返答を準備して、持ってきていたのだ。私もあなたが好き、あなたとやり直したい、結婚は取りやめてもいい……そんなことを言おうとしていたはずだ。
それなのに、それなのにである!ここでピーターが彼女になんと言ったか、覚えているかい?彼はこんなことを言ったのだ。
「やっぱり無理なんだ。君のこと好きじゃない……」おいピーター!お前!いい加減にしろよ!……と、MJ目線からするとツッコミたくなる。
こうして振り返れば、実はMJの方こそ、ピーターにさんざん振り回される立場だったとわかるだろう。昔からモジモジしていて引っ込み思案で、恋愛の対象には上がりにくかったピーター。ある時からとつぜん自分に自信をつけるようになって、あからさまな好意と共にアプローチしてくる。MJも心を動かされて愛の告白をしてみたら、どういうわけか「ダメだ」と断られてしまう。
やがてMJが諦めて別の男と付き合っていると、今度は「僕は変わったから、やり直してほしい」との打診。とはいえ、もう結婚話が進んでいるし……。悩みに悩んで「私のこと好き?」と聞いてみると「いや、好きじゃない……」「やっぱり無理……」とか言い出す始末。MJから見たピーター・パーカーという男は、一貫して、一貫性がないのだ。





























