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でも『スパイダーマン2』のMJ目線から見ると、ピーターの方がずっと意味不明なんだよな ─ 彼女だって孤独だった?MJ擁護論

スパイダーマン
© Columbia Pictures Photographer: Doug Hyun 写真:ゼータイメージ

しかし、そんな意味不明なピーターの言動の裏側を、まもなくMJは知ることになる。ドクター・オクトパスとの戦いで、マスクを脱いだスパイダーマンこそがピーターだったことが判明するのだ。彼女の中の点と点が、クモ糸で繋がってゆく。そうか!だからこの人は、私との関係に踏み込んでこなかったんだ!そう言われてみれば、妙に覚えのあるキスの味。常に私のそばにいて、危険から遠ざけてくれていたのは、あなただったのね、と。

MJがそんな思いを巡らせていると、彼女の身に巨大な瓦礫が倒れかかってくる。今度こそ死を覚悟したところ、やはり彼は間一髪で助けてくれる。そこで出したピーターの言葉だ。「やぁ、これすごく重いね」だ。そうだよ、これなんだよピーター。君は、この状況で100点満点のセリフを出したんだよ。

僕が助けてあげているとも、私は助けられてるとも感じさせない。ただ、瓦礫が重い。人生というのは、運命というのは、こんなふうに重くのしかかってくる。だけど僕は、君のために、君の顔を見ながら、耐え抜くことができる。今言うことは、それだけでいい。

そして眼前のこの人は、善意の象徴たるスパイダーマンスーツを着て、全身の筋肉をはちきれさせながら、いま私1人のために、涼しい顔で、すごく重い瓦礫をその身体で支えて、まさに自分の命を、対面で救ってくれたのである。

いやぁ、もう、惚れるでしょう。一発。人生委ねれらる。ジョン?あぁ、彼にはもう、申し訳ない。君はMJを宇宙に連れて行くことはできない。だけどピーターは今、月の裏側よりも尊くて優しい場所に、彼女を連れて行ったのだ。

ここまでの心情を追ってみれば、彼女が結婚式キャンセルをする背景も、少しは想像しやすいのではないか。彼女は必ずしも、その場の感覚だけで行動していたわけでもないのだ。

さて、ピーターはこの後も、スパイダーマンとして孤独で辛い戦いを続けることになるわけだが、MJの方も辛い。恋人をいつも危険な場所に送り出すことは、危険な場所に飛び込んでいく本人と、ほとんど同等の勇気を強いられるものだから。

きょう、彼が怪我をしてしまったらどうしよう。死んでしまったらどうしよう。自分にできることは何もなく、ただ部屋で待つことだけ。これから彼女に待っているのは、そんな日々である。まして、ピーターはそれでお金を稼いでいるわけでもない。彼の自警活動は、言うならば単なる、信念上のボランティアなのだから。

恋人からすれば、辞めてほしいというのが本音だろう。でも、だけれども、辞めてほしいなんて言えない。だって、辞めてほしいわけでもない。かといって、「あなたが心配」と言うこともできない。それがあなたの生きる道なら、尊重するのが自分の役目だとわかっているから。誰かに相談することもできない。黙って送り出して耐えることしかできない。

だから『スパイダーマン2』のラストカットで彼女は、「やっつけて!(Go get ’em, tiger!)」と理解的にピーターを送り出しながらも、そのまま暗さや不安を交えた表情で、彼が溶けていった夕空を見つめているのだ。あぁ、本当にこれで良かったのだろうか。全てを投げ捨てて彼の元にやってきて、本当に私は将来大丈夫なのだろうか、と。

以上で、サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズで何かと批判されがちな恋愛ヴィラン、メリー・ジェーン・ワトソン擁護論を終える。MJ、君も大変だったんだね、と、あなたのシリーズへの見解に新たな角度が加われば幸いだ。

ちなみに彼女はその後、『スパイダーマン3』でハリーに再接近し、彼の策によって「他に好きな人ができた!もう別れる!」とぶつけてピーターを困らせるのだが、こちらもそもそもの原因は、調子に乗ったピーターに傷つけられたせいという流れもある。そう考えると、MJもまた、サム・ライミ版『スパイダーマン』におけるもう一人の孤独な人物だったのだ。

“ピー”の後に歌って!映画『スパイダーマン2』は2026年7月3日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて1週間限定でリバイバル上映。

上映概要

REVIVAL by THE RIVER Vol.1 スパイダーマン2

企画名:REVIVAL by THE RIVER

第1回上映作品:『スパイダーマン2』(2004)

上映期間:2026年7月3日(金)より1週間限定


上映開始時間:全日18:10~

上映劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)

オンラインチケット予約販売:
・TCG会員 6月23日(火)18:00~
・通常販売 6月23日(火)21:00~
※劇場窓口では、6/24(水)より販売開始
チケット料金:1,600円(各種割引サービスはご利用いただけません)

Source:microsoft, cernet.edu.cn

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者、運営代表。執筆・編集から企画制作・取材・出演まで。数多くのハリウッドスターに直接インタビューを行なっています。お問い合わせは nakataniアットriverch.jp まで。

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