『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は『ノー・ウェイ・ホーム』より巨大な映画ではなく「もっと小さな映画」目指したとプロデューサー
歴代スパイダーマンとヴィランが次々と登場した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)に続くなら、次はさらに巨大なクロスオーバーを──。しかし最新作『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の製作陣が選んだのは、どうやらその反対の方向だったようだ。
2026年7月17日(日本時間)に開催された本作のグローバル記者会見で、プロデューサーのエイミー・パスカルが、『ノー・ウェイ・ホーム』後の続編を構想するうえで目指したものを明かした。
前作では、トム・ホランド演じるピーター・パーカーのもとに、トビー・マグワイア版とアンドリュー・ガーフィールド版のスパイダーマンが集結。さらにグリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、エレクトロ、リザードといった過去シリーズのヴィランも登場し、実写版『スパイダーマン』約20年の歴史を結集した一大クロスオーバーが実現した。
映画のラストでは、マルチバースの崩壊を防ぐため、ピーターが全世界の人々から自分に関する記憶を消すことを決断。MJやネッドを含め、誰もピーター・パーカーの存在を覚えていない世界で、一人きりの再出発を迎えていた。
パスカルによれば、この結末は続編を作る製作陣を「とても難しい状況」に追い込むものだったという。
「それまでの作品は、周囲の人々が“スパイダーマンの正体を知ってしまう”ことで、ピーターの人生が通常のスパイダーマンとは違うものになっていく、という物語でした。だから私たちは、あえてもっと難しい状況にピーターを戻すことにしたんです。誰も彼が誰なのか知らない状態へ。それこそが、常にスパイダーマンが抱えるジレンマだから。」
トム・ホランド版では、第1作『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)の時点で、親友ネッドがピーターの正体を知っていた。やがてMJやメイおばさんにも秘密が明かされ、『ノー・ウェイ・ホーム』ではミステリオの告発によって、ピーターの正体が世界中に知られることになる。
ところが前作の結末によって、その関係はすべてリセットされた。最新作のピーターは、正体を隠しながら誰にも頼らず戦うという、スパイダーマン本来の孤独なジレンマに立ち返ることになる。
もっとも、3人のスパイダーマンが登場する超大作を作った直後であれば、次はさらに規模を拡大したくなるのが自然だ。パスカルも「3人のスパイダーマンが登場する映画を作った後だと、もっと巨大な映画を作りたくなる傾向があるでしょう?」と認めている。
それでも製作陣が選んだのは、前作を規模で上回ることではなかった。「私たちが決めたのは──特に、この監督がいたからこそ──もっと“小さな”映画を作ることでした。誰かの“個人的な人生”についての物語。ピーター自身の物語であり、すべてが彼から生まれる映画にすることだったんです」。
ここでいう「小さな映画」とは、アクションや製作規模を縮小した作品という意味ではないだろう。ハルクやパニッシャーも登場する本作は、依然として大規模なスーパーヒーロー映画である。パスカルが強調しているのは、物語の中心をマルチバースや歴代キャラクターの共演ではなく、ピーター・パーカー個人の人生に戻すという方針だ。
本作の舞台は『ノー・ウェイ・ホーム』から4年後。ピーターは愛する人々の人生と記憶から自らの存在を消し、一人で暮らしている。ニューヨークで犯罪と戦うことに全力を注ぐ一方、街では不可解な事件が頻発し、これまで直面したことのない脅威が迫るという。
前作のようにマルチバースを越えて複数のスパイダーマンとヴィランが入り乱れるのではなく、今回はニューヨークの街と、そこで孤独に生きるピーターへと視点を戻す。物語のスケールを意図的に絞ることで、トム・ホランド版スパイダーマン自身の戦い方や身体能力、街を縦横無尽に駆け回るアクションも、これまで以上に前面へ押し出されることになりそうだ。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は2026年7月31日、日米同時公開。
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