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日英またぐドラマ「Giri/Haji」はもっと祝福されても良いはずだ ─ おうち時間に観たいシリーズ作品を1日1本紹介

Netflixオリジナルシリーズ「Giri / Haji」独占配信中

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための「緊急事態宣言」も、どうやら長引くことになりそうだ。いつもなら話題の大作映画がやってくるゴールデン・ウィークも、今年はずっとおうちで過ごすことになりそう。

そんな時だからこそ、たっぷり時間を使って「シリーズもの」に手を出してみてはいかがだろう。海外ドラマやリアリティ番組、ドキュメンタリー・シリーズなど、THE RIVER編集部メンバーいちおしのタイトルを8日連続で1日1作ご紹介。話題作から、ちょっぴりマイナーなものまで、イチオシ作をぜひお楽しみいただきたい。

最終日は編集長 中谷直登より、「Giri/Haji」をご紹介。

「Giri/Haji」

もう少し話題になっても良いのに、と思う。Netflixのオリジナルシリーズ「Giri/Haji」は、日本とイギリスを舞台としたハイブリッド作品だ。「義理」と「恥」、日本独特の義理人情や警察対ヤクザの捕物劇を、日英行き来して国際的に描く。

主軸になるのは、平岳大と窪塚洋介演じる日本人兄弟。兄は平が演じる健三で、家庭を持つ真面目な刑事だ。窪塚が演じるのは弟の勇人で、ヤクザの一員。死んだと思っていた弟が、ロンドンで暴力団の抗争に関わっていると知らされた健三は、兄弟の「義理」からロンドンへ飛び、捜査に乗り出す。

Netflixオリジナルシリーズ「Giri / Haji」独占配信中

平が流暢な英語を披露するロンドンで出会うキャラクターも曲者揃い。ウィル・シャープ演じるロドニーはかつて大阪に住んでいたらしく、すらすらと大阪弁も話す。男娼で、別れた美少年の姿を亡霊のように追っている。『トレインスポッティング』(1996)のケリー・マクドナルドはロンドン市警のセーラ・ウェイツマン役だ。犯罪学の講師も務めていて、健三にロンドン流の捜査術を教えていく。そして、妙に惹かれ合っていく。ロンドン犯罪組織のボス、アボット(演:チャーリー・クリード=マイルズ)や、アボットと関係する殺し屋のドナ(演:ソフィア・ブラウン)も油断ならない。

Netflixオリジナルシリーズ「Giri / Haji」独占配信中

日本人勢も注目だ。『おくりびと』(2008)で世界的な評価を獲得し、大河ドラマ「麒麟がくる」でも話題の本木雅弘は、ヤクザの組長・福原として凄みを利かせる。健三の娘タキ役の奥山葵は1999年生まれの新世代で、無鉄砲で複雑な少女の、じれったい年頃を好演。健三の部下トシオ(演:勝矢)や、ロンドンで健三と落ち合うエイジ(演:山村憲之介)も自然な演技を見せている。福原の娘で、勇人と禁断の恋仲になるエイコを演じるのはアンナ・サワイで、ダンス&ボーカルグループであるFAKYの元メンバー。『ワイルド・スピード:ジェットブレイク』にも出演する注目株だ。それで言えば、主演の平も『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』に出演するので、今後ハリウッド作品で目にする機会も増えるだろう。窪塚は、マーティン・スコセッシ作品『沈黙 -サイレンス-』(2016)でも重要な役を演じている。

日本の任侠モノの、おっかない魅力と、海外ドラマのクライム・スリラーの要素を行き来しながら展開される不思議な世界観。東京とロンドンの町並みは似ても似つかないが、どんよりとした天候というか、空気感みたいなものは、なんだか次第に通じ合うものがあるように感じてくる。

エクゼクティブ・プロデューサーは、目の肥えたドラマファンを唸らせたHBO「チェルノブイリ」製作のジェーン・フェザーストーン。平や窪塚らは、海外の製作陣相手に日本語作品の美学を見せつけている。「非常に練られていて、翻訳にも時間をかけ、我々も意見を述べました。そういったクリエイティブな関係の良い前例を作った、という感じはします」と平は手応えを感じている。

Netflixオリジナルシリーズ「Giri / Haji」独占配信中

半分ほどが日本のシーンになるわけだが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で真田広之とジェレミー・レナーが戦っていたシーンのような違和感はほとんどない。アンナ・サワイのオーバーな女言葉はババ臭くて少々引っかかるが、良い意味で生活感のある、地に足ついたドラマが展開されていく。

多くの日本人にとって、本作の出演陣の中でも窪塚が最も顔なじみのはずだ。見慣れないロンドンの闇の中で、ぬらり、と現れて、華奢な前髪を垂らしながら「兄貴ぃ…」と言う窪塚の姿には、このドラマでしか覚えることのできない独特の親近感がある。

日本語とイギリス英語。日本の警察とロンドンの警察。日本のヤクザとロンドンのマフィア。家族。兄弟。不倫。同性愛。銃と日本刀。生と死。義理と恥。シマを越え、海を越え、性別を越え、常識を越えた全く新しい不思議なサスペンス。日本の舞台と日本人俳優が本格的に世界に出た「Giri/Haji」の上出来を、もっと祝福しても良いはずだ。

 

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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