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故ヴァル・キルマーのAI復活、「本人が熱望した」と娘が説明 ─ 「否定的なコメントもありましたが、大きく2つに分かれていると思います」

https://www.youtube.com/watch?v=m1hwb-kB_7A

2025年4月にこの世を去った俳優ヴァル・キルマーが、AI技術によって新作映画『As Deep as the Grave(原題)』に出演する──。この報道は、生成AIと創作関係を憂慮する人々や、シンプルにAIを忌避する人々から厳しい視線を向けられた。

もっとも、本作への“AI出演”はキルマーの遺族が承認し、全面的に協力したもの。デジタル復元にあたり、生前のアーカイブ映像や写真、音声が使用された。テレビ番組「TODAY」では、娘のメルセデス・キルマーが、父親のAI出演についてその意図を詳細に語っている。

「父が生きていたら、きっと自分でできるかぎりの宣伝をしていたはず」とメルセデスは言う。出演オファーは2018年だったが、コロナ禍のため製作は遅延した。咽頭がんで声を出すことが難しかったため、すでに『トップガン マーヴェリック』(2022)と同様、AIで声を生成していたという。

本作は1920年代を舞台に、考古学者アン&アール・モリス夫妻の発掘調査を通じ、ナバホ族の歴史と生活を掘り下げるストーリー。キルマーは題材に共感し、カトリック司祭のファーザー・フィンタン役を演じる予定だったが、体調不良のため撮影には参加できなかった。

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「父(キルマー)はどうしてもこの映画に出たいと思っていました」とメルセデスは言う。また2018年以降、キルマーは「俳優が自らのライセンスと権利を持てる仕組みを作ることに情熱を注いでいた」というのだ。

「対価の仕組みを作り、役者が実際に自らの身体で演じる場合と同じくらいの報酬を受け取れるようにすべきだと考えていました。そのような形で、より多くの仕事が生まれるのならば素晴らしいこと。(今回は)きわめて歴史的な前例を作ることになったと思います。」

当初は闘病ゆえの制約を乗り越えるためのものだったが、キルマー自身も、これが大きな前例になることを認識していたそう。監督のコエルテ・ヴォーヒーズ、プロデューサーで弟のジョン・ヴォーヒーズも、この映画を通じて、AIを倫理的に使えることをアピールしたいと話す。全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のガイドラインにのっとり、キルマーの出演料も遺族に支払われているのだ。

それでも、そういった実情とは無関係に、「映画製作をAIに使用した」というだけで批判の声は少なからず寄せられたという。

「否定的なコメントも受け取りましたが、大きく2つに分かれていると思います。ひとつは、業界でより不安定な立場にあり、AIを脅威とみなして心配している人たち──まったく正当なことです──や、若い俳優やミュージシャンたち。一方で、ポジティブな反応もたくさんもらっています。年長者たちや、業界でより確立された立場にいる人たちです。彼らはこれを、俳優が自らのIPの所有権を守る方法だと見ています。」

メルセデスは「我々はこの技術となんらかの方法で向き合わなければならず、必ずしも回避することが得策ではない」と言う。「積極的にライセンスするほうが、むしろ権利の仕組みを作るのはずっと簡単」だとも。

ただしメルセデスは、本作は父が熱望したプロジェクトだから協力したのであり、どんな機会にもデジタル復元の許可を出すわけではないと強調する。

「このプロジェクトは、将来、もしも父親の肖像が無許可で使用されたときに、私たちが“見てください、こうすべきです”と言える機会を与えてくれました。証明するのではなく、実例として示すことができます。」

ちなみにキルマーは生前、別の使い道についても話していたといい、メルセデスいわく「それらはいずれ実現する可能性がある」とのこと。また、「父が演じたキャラクターに基づくビデオゲームが作られる可能性もある」と話した。「バットマンのゲームですか?」と問われると、「そうですね、ありうると思います」と述べた。

Source: TODAY

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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