もう、スピルバーグの新作というだけでみんなが映画館に行くわけじゃない

米Vultureは、SNS上では本作が「ベビーブーマー向け(日本で言うところの“団塊の世代”に近い)」と揶揄されていると伝えるほどだ。また、『ディスクロージャー・デイ』は従来的なテレビCMに宣伝予算を投じた一方、若者に支持され、すでに世界興収3.7億ドルに到達した『オブセッション 災愛』はSNSでのバズ戦略で口コミ拡散とリピート鑑賞を促したとも報告されている。
スピルバーグの威光が若者世代に届いていないというのは、一定の年齢以上の映画ファンにとって驚きだが、ある意味では、新陳代謝が進んでいるとも見るべきか。スピルバーグ自身もまた、20代で『ジョーズ』を撮った若き才能だった。
巨匠の名前や有名スターの出演だけで、もう動員を保証できる時代でもない。多くの観客が知るはずのスターが出演しているにも関わらず、ヒットに結び付かなかった近例は『バビロン』(2022)『アムステルダム』(2022)『Argylle/アーガイル』(2024)『フォールガイ』(2024)『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』(2024)『レッド・ワン』(2024)など枚挙にいとまがない。一方、『バックルームズ』『オブセッション 災愛』は、いずれもスター俳優の知名度を前面に押し出して動員するタイプの作品ではない。
動員の中心を担う若者は間違いなく映画館に来ている。ただし彼らを動かしているのは、巨匠の名前やスター俳優の顔ではなく、SNSで共有される熱量や、「いま映画館で見ておくべき」というイベント感覚なのだ。『ディスクロージャー・デイ』は日本では公開予定を10月1日まで伸ばし、十分な宣伝戦略期間を設けた。本国の状況に倣うのなら、「スピルバーグの新作だぞ」だけではもう通用せず、「なぜ映画館で観るべきなのか」を丁寧に説く必要があるだろう。……いや、もしかしたら、「そもそもスピルバーグって誰?」というコミュニケーションも求められるかもしれない?


『ディスクロージャー・デイ』は2026年10月1日、日本公開。
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