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【ネタバレ解説】『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』ブライアンと重なるジェイコブの存在、◯◯シーンは第1作へのオマージュか

ワイルド・スピード/ジェットブレイク
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この記事には、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』のネタバレが含まれています。

『ジェットブレイク』の舞台は1989年に始まり、トレット家の知られざる過去が描かれた。プロレーサーの父ジャックのピットクルーを担当していた若き日のドムとジェイコブ。ある日のレースにて、ジャックが乗っていた車が他のレーサーの車と衝突し、ふたりの目の前で父親は亡くなってしまった。この悲劇をきっかけに生じてしまったトレット兄弟の確執は修復することなく、その後20年以上にわたり溝ができたままであった。

予期せぬ再会を果たしたドムとジェイコブは、激しいカーチェイスや殴り合いを繰り広げるなど、真正面から衝突。しかし戦いの中で、ふたりには父の死をめぐって誤解が生じていたことも分かり、兄弟の関係性には徐々に変化が見られた。そして、世界の運命を握るデジタル装置“アリエス”を乗せた巨大装甲車をドムたちが追跡する終盤のシークエンスでは、世界征服を企んでいたオットー(トゥエ・アーステッド・ラスムッセン)から裏切られたジェイコブに、ファミリーが救いの手を差し伸べたのである。ここからエンディングまでの間には、ドムとブライアンの関係性を彷彿とさせるようなトレット兄弟の姿が登場している。

1つは、装甲車の暴走を止めるべく、ドムとジェイコブが車両を挟んで並走するシーン。ハンとミアが乗っていたオレンジのトヨタ・スープラに乗り、一度はその場を離れたジェイコブだが、再びファミリーの元に車を走らせ、巨大車両の動きを封じようとするドムの助けに入った。ダッジ・チャージャーに乗るドムとスープラに乗るジェイコブ。このふたりの並走は、第1作『ワイルド・スピード』(2001)で描かれたラストシーンとどこか重ならないだろうか。

第1作のラストでは、ファミリーのひとりであるジェシーを殺したジョニー(リック・ユーン)たちとの追跡劇を終え、高校時代にレースをしていた道に車を止めたドムと、その後を追ってきたブライアンに焦点が当てられた。その後、ふたりはちょうどゼロヨンの距離である踏切までの道をそれぞれ全速力で駆け抜けた。装甲車を止めるためにドムとジェイコブが並走したシーンと、正面からの構図はそっくりである。

敵の企みを阻止した後にやってくるシーンにも、第1作のラストシーンと重なる瞬間が描かれている。ドムがジェイコブに、「昔、もう一回やりなおすためにゼロヨンの車を譲ってくれた男がいる」と言いながら、ダッジ・チャージャーの鍵を渡す場面だ。第1作でも、踏切でのレース後にダッジ・チャージャーを大破させたドムに、ブライアンは鍵を渡している。ドムはまさにこの時を思いながら、ジェイコブに鍵を渡し、もう一度チャンスを与えたのだ。

これまでファミリーを大切にしてきたが、本当に向き合うべき弟との関係を築くことができなかったドム。『ジェットブレイク』で見られたドムとジェイコブの“仲直り”は、ブライアンが導いてくれたものといっても過言ではないだろう。ドムのキャラクター性に深みを出すために重要な役割を果たしたジェイコブだが、この役にジョン・シナが抜擢されたのも偶然ではない。ヴィンは、本作が公開を控えていた2021年4月に、ジョン・シナをジェイコブ役に導いてくれたのがポールだったと明かしていたのだ。

「製作が始まりつつあったとき、ジャスティン(・リン監督)と、ドムの兄弟を登場させたらどれだけすごいことになるのかを話していました。進むべき道はたくさんありましたが、その時ジョン・シナが“ドムの聖堂”にやってきて、僕はドムの状態に入ることができたんです。ジョンの参加はクレイジーなことだと思いましたけど、パブロ、つまりポール・ウォーカーが(ジョンを)送り出してくれたんだというふうに感じたのを憶えています。その日の夜、僕はジャスティンに“これは運命なんだと直感的に感じたんだ”という風に伝えました。」

『ジェットブレイク』にジョン・シナの参加が報じられた2019年4月、ヴィンは自身のInstagramにポールへの感謝をしっかりと書き残していた。「ありがとう、パブロ」と。こうしてファミリーに迎え入れられたシナだが、彼が演じたジェイコブにもブライアンの姿が反映されているのは、ポールへの敬意を払ってのことなのだろう。

『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は大ヒット上映中。

Source: Comicbook,Vin Diesel Instagram

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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