ハンス・ジマー日本を語る ─ 来日公演記念、単独ロングインタビュー
日本は、私たちの未来がどうなり得るのかを示している、とても良い例だと思います。私が訪れたのは大都市でしたし、本当に大勢の人がいる。それなのに、みんながお互いのための空間をきちんと見つけながら暮らしているんですよね。
そこには、西洋にはない礼儀正しさがあります。西洋にそれがないのは、文化的には惨事と言っていいくらいです。人間性や他者への共感という意味で、日本は私たちよりずっと先に進んでいると思います。
──前回お話しした際、日本での公演実現までこれほど時間がかかった理由のひとつとして、狙った時期にアリーナを確保することが非常に難しいからと仰っていました。一度日本公演を経験したことで、今回は少し楽になりましたか?
やはり難しいですよ。私たちは設備や機材を積んだトラック20台分くらいの荷物を持って移動しています。それに日本は、とても遠いでしょう。それだけでも大変です。言葉の壁もありますしね。
でも、私たちは全員、日本に行きたかったんです。だから、どんな困難があろうと関係なかった。行く覚悟はできていました。
──今回は一度経験しているぶん、多少は楽になったのでしょうか?
まだわからないですね。実際に着いてみないと(笑)。
──前回のインタビューでもうひとつ、とても印象的だった言葉があります。毎回ステージに立つ前は、飛び込み台の上に立っているような恐怖を感じる、と仰っていました。実際には怖がっているようには全然見えず、すごく楽しそうでしたが(笑)。昨年、日本の観客はちゃんと受け止めてくれましたか? そして日本公演も2度目となる今回は、少し安心して飛び込めそうですか? それとも、やはり毎回怖い?
今はちょっと違いますね。今度は頭に銃を突きつけられている感じです(笑)。でも、不安を感じなくなってしまったら駄目だと思うんです。不安があるからアドレナリンが出る。それがなかったら、良いショーはできないと思います。
昔からの友人である歌手のアデルと話していたことがあるんですが、彼女は「ステージに出る前に吐かなかったら、その日は良いショーにならない」って言っていましたよ(笑)。
ステージに立って、2万人なのか8,000人なのか1万人なのか、そのときどきですが、とにかく大勢の人を目の前にする。そこには、もう自分と観客しかいないんです。そして私は、その人たちに語りかけなければいけない。だから、圧倒されることはありますよ。

──以前、「最大の敵は現状維持だ」とも仰っていました。しかし“Hans Zimmer Live”は、すでに非常に大規模で完成度の高いプロダクションです。今回、それでも「ここは変えなければ」「もっと先へ行ける」「さらに良くできる」と考えた部分はどこですか?
新しいステージをデザインしました。まあ、それによって新たな問題もいろいろ起きましたけどね(笑)。
誰も私に「ノー」と言ってくれる人がいない。それは間違いです。たまには私に「それは無理ですよ」「うまくいかないよ」と言ってくれる人が必要なんです(笑)。
でも、もちろん常にもっと先へ行きたいと思っています。私は毎回のショーから何かを学んでいます。このショーは、私と観客だけで成り立っているわけじゃない。私たち全員で作っているものです。お互いがかなり強く影響し合っていると思います。だから公演中に何が起きたのかを、なるべく覚えておくようにしています。どんなところに観客が反応したか。何に心を動かされたか。何を面白いと思ったか。どこで笑ったか。
ちなみに、私はステージで話すことを何ひとつ事前に用意していません。その場に出ていって、口から出てきたことをそのまま喋る。だから、ときどきちょっと危険なことになります(笑)。でも、それが私なんです。できる限り自然なものにしたいんですよ。
──あなたの音楽はもともと映画のために書かれたものですが、今では何万人もの観客を前に演奏し、その反応を直接体験しています。ライブを経験するようになったことで、映画音楽の作り方にも何か変化はありましたか?
すごく良い質問ですね。


























