『オークストリートの異変』前景も後景もピントを合わせる独特の撮影は「デ・パルマの影響」、監督が認める ─ 「スプリット・ディオプター」へのこだわり

アン・ハサウェイ&ユアン・マクレガー主演、J・J・エイブラムス製作の恐竜アドベンチャー映画『オークストリートの異変』。監督・脚本を務めた『イット・フォローズ』(2014)『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)のデヴィッド・ロバート・ミッチェルは、本作の映像表現に名匠ブライアン・デ・パルマからの影響を忍ばせている。
予告編映像でも確認できるように、本作ではとある場面で、「スプリット・ディオプター」のショットが使用されている。これは、ひとつの画面の中で異なる距離にある被写体を同時にフォーカスさせる撮影技法。通常ならば手前の人物にピントを合わせれば奥がぼやけるところ、前景と背景を同時にくっきりと見せることができる。ブライアン・デ・パルマが『殺しのドレス』(1980)などで好んで用いてきたことでも知られる手法だ。
このテクニックを印象的に利用したのはなぜか?ミッチェル監督はTHE RIVERによる単独インタビューにて、本作でこの技法を「かなり使っています」と認め、その理由をこう明かした。
「僕はブライアン・デ・パルマの大ファンなんです。前景と背景の両方にピントが合っている画が大好きで。ひとつの固定されたフレームの中で、前景に何があるのか、中間に何があるのか、そして背景に何があるのか、ということを使って遊ぶのが好きなんです。」
さらに、「スプリット・ディオプターのようなディープフォーカスのショットには、とても面白い効果があると思っています」と続ける。
「普通の構図なら、たとえば前景にピントが合っていて背景はボケていることがありますよね。でもスプリット・ディオプターを使うことで、観客は前景と背景の両方に注意を向けるようになるんです。」
つまりミッチェルが狙ったのは、画面の一点だけではなく、フレームのあらゆる場所を観客に警戒させることだ。これは『イット・フォローズ』を思い出すと、いかにもミッチェルらしい発想でもある。同作でも広角レンズや長回しを駆使し、観客が画面の奥や端まで見回し、迫り来る“それ”の存在を警戒するような映像設計が採られていた。より大規模なスペクタクルが描かれる本作『オークストリートの異変』でも、監督お気に入りの手法が再び用いられた形だ。
『オークストリートの異変』は大ヒット上映中。
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