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【ネタバレ】『ザ・バットマン』衝撃のラスト解説 ─ 未公開シーンや新たなオリジン、今後の再登場予定も

ザ・バットマン
© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

この記事には、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の重大なのネタバレが含まれています。

 ザ・バットマン
© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

未公開シーン:ジョーカーとバットマンの会話

当初の予定では、ジョーカーはもっと早期に姿を見せることになっていた。リドラーがゴッサム市警総監を殺し、バットマン宛のメッセージがまた新たに見つかるシーンに続いて登場する予定だったという。

バットマンは、なぜリドラーがゴッサムの汚職者たちを次々に殺しているのか、そして自分宛にメッセージを残しているのかが分からなくなり、リドラーの思考に入り込むプロファイリングを試みることになる。『刑事グラハム/凍りついた欲望』(1986)や「マインドハンター」のような手法だと、リーヴス監督は米Varietyに解説している。

そこでバットマンは凶悪犯が収容されるアーカム・アサイラムに侵入、ジョーカーに面会するというシーンがあったというのだ。これは本作の原案になっているコミック『バットマン:ロング・ハロウィーン』での展開を踏襲している。『ロング・ハロウィーン』でバットマンは、謎の犯人と同じような手口で殺人を行うヴィランの意見を聞くため、アーカム・アサイラムを訪れている。

『ザ・バットマン』では、バットマン役のロバート・パティンソンとジョーカー役のバリー・コーガンとで撮影も行っていたという。バットマン対ジョーカーは、一体どんな会話を繰り広げていたのか。

リーヴス監督が明かしているところによれば、そこでジョーカーは「もうすぐ俺たちの記念日だよね」と言うそうだ。「彼らには既に関係性があったことを示唆するんです。この男(ジョーカー)が何かをやらかしていて、バットマンが何らかの方法で彼をアーカム送りにしたんです」と監督。つまり、『ザ・バットマン』活動2年目のバットマンは既にジョーカーと対決していたということで、これは重大な事実である。

バットマンはジョーカーに、リドラーの思考を知りたいと助言を求める。これに対してジョーカーは「どういう意味だ?奴の考えが知りたいって?お前ら、同じ思考回路だろ」と返すのだと、監督は紹介している。「彼(ジョーカー)は、実はバットマンの頭に入り込んでいるんです。しかしバットマンは、それを暴力的に拒む。そういうシーンでした。彼を不安にさせるシーンだったのです」。ちなみにここでのジョーカーも、本作における他のキャラクターたち同様、「まだジョーカーにはなっていない」という状態だったそうである。

結局のところ、このジョーカー面会シーンはカットされている。監督によれば「不必要だった」「もともと物語が複雑なので、省いたほうがストーリーを必要な形で動かすことができる」ため。他のシーンとも流れが似ていたからだと述べている。

明言こそされていないものの、おそらくリドラーとの面会シーンと類似したのだろう。リドラーとのシーンでも、バットマンはリドラーに言葉巧みに翻弄され、激昂してガラスを殴打する。監督の話を元にすれば、バットマンはジョーカーとの会話で余計に混乱・不安に陥り、結局は徒労に終わったはず。また、バットマンがジョーカーを「暴力的に拒む(resisting this idea violently)」というので、ここでもジョーカーの独房の鉄格子を殴打するような流れがあったのではないか。バットマンとジョーカーの対峙が見られたなら嬉しいサプライズになり得たが、物語上は不必要な寄り道に過ぎず、かえって作品に散漫な印象を与えてしまっていたかもしれない。

ただし監督としては、ジョーカーの実在を事前に示しておくからこそ、最後にリドラーがその隣に収監されるという展開に旨味が出ると考えていた。そのため、1回目のジョーカー登場をカットするというのは、苦渋の決断だったという。バットマンとジョーカーのシーンは、『羊たちの沈黙』(1991)でのクラリス・スターリングとハンニバル・レクターの対峙シーンのようだったと監督は話しているから、尚のこと興味が湧くが、ご安心を。今後ある時点で間違いなく公開するつもりだとされているから、きっとブルーレイの映像特典などで観ることができるはずだ。

ジョーカーそのものがカットされる可能性があった

このシーンをカットしたことで、いっそ2回目の登場シーンも同様に削除し、バリー・コーガン版ジョーカーの存在そのものを本作から取り除くということも検討したそうだ。ところが、削除版をテストしてみたところ、やはり件のラストシーンは必要だったとの確信に至ったという。

それは、劇中でのセリーナ・カイルの「この街は変わらない」とのセリフにかかっている。リドラーを退治したからといって、ゴッサムの脅威はまだ常にそこにある、という事実を示すためだ。監督は、「あのキャラクターが出てきて嬉しい、ということだけじゃないんです」とその真意を説明。「映画のエンディングに対する反応を変えるためのものです。つまり、ゴッサムはまだゴッサムのままであり、バットマンに選択肢は残されていないということ。彼は、彼のすべきことを続けなければならないのです」。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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