「観てない映画なのに、強固な意見を持ってる人がいる」『DIGGER/ディガー』イニャリトゥ監督、人の意見ではなく「自分自身で体験して」【独自】
映画を観る前に、ネット上のレビューやSNSの評判をチェックする。その映画が「面白い」のか「つまらない」のか、あらかじめ答えを知っておきたい。
しかし、他人の感想だけで作品の良し悪しを決めてしまってもいいのだろうか?トム・クルーズ主演の最新作『DIGGER/ディガー』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督はTHE RIVERの単独インタビューで、そんな現代の映画鑑賞をめぐる風潮に持論を語った。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)のイニャリトゥ監督が、トム・クルーズと初タッグを組んだ『DIGGER/ディガー』。クルーズ演じる傲慢な大富豪が、自ら引き起こした地球滅亡の危機を食い止めようとする、ブラックユーモアたっぷりの風刺劇だ。
本作は海外での初期評価から賛否両論が巻き起こり、絶賛と酷評が真っ二つ。配給のワーナー・ブラザースも、相反する評価を並べて「自分で決めろ」と呼びかける異例のプロモーションを展開している。一方、ギレルモ・デル・トロ監督は「好きでも嫌いでもいい。私は好きだ」と擁護するなど、議論はますます盛り上がっている。
もちろん、映画を実際に観た上で、どのような感想を持つかは自由だ。しかし、他人の評価を鵜呑みにして、まだ観てもいない映画への批判を固めてしまう人もいる。特に若い世代では、事前に作品の良し悪しを知りたがり、未知の作品に飛び込むことを避ける傾向もあるのではないか。
そこで来日したイニャリトゥ監督に、こう尋ねた。人々は以前より、未知のものに賭けることを嫌がるようになっているのか? そして、何が起きるのか分からないまま映画を観るという行為をやめてしまったら、私たちは何を失うのだろうか?
「それは、この映画そのものが扱っていることでもあります。この映画は非常にメタ的なんです」と監督は素早く答える。
「人々がこの映画について読んできた“物語”は、この映画そのものではありません。それは誰か別の人から受け取ったナラティブです。でも、それは映画ではない。」
ここでいう「ナラティブ」とは、誰かが出来事を解釈し、意味づけて語る物語のことだろう。映画の中でディガーが人々に語りかける言葉もまた、現実そのものではなく、「その現実について語られた物語」なのだという。
「ですから質問への答えは、イエスです」と監督は続ける。
「映画をまだ見ていない人が、自分が一度も見たことがないもの、あるいは今後見ることすらないものについて、非常に強固で確信に満ちた意見を持っている。これは本当に驚くべきことだと思います。」

映画を観てもいないのに、他人の感想や批評を通じて、あたかも自分で体験したかのように作品を判断する。監督が懸念するのは、そうした行為によって、私たちが自ら現実に触れる機会を失いつつあることだ。
「私たちは、“現実そのもの”を共有する機会を失いつつある。その現実について誰かが何と言ったかではなく、誰かがどう説明したか、どんなレッテルを貼ったかでもなく、現実そのものをです。
もちろん、人それぞれの体験はすべて正当です。でも、まずは自分自身で体験しなければいけない。
私はこの映画を、観客自身に体験してほしい。そして、その人自身の体験を持ってほしいんです。」
実際、事前情報を持たずに『DIGGER/ディガー』を鑑賞した観客の中には、聞いていた評判とはまったく異なる体験をする人もいるという。「何の情報も持たずに映画に身を委ねた人たちが、事前に聞いていたこととはまったく違う、非常に強烈な体験をしている。それを見るのはとても興味深いですし、とても満足しています」と監督は語った。
インタビューの最後、日本の映画ファンに向けたメッセージでも、イニャリトゥ監督は同じ思いを強調している。
「できるだけまっさらな状態で、先入観を持たず、誰かから聞いた“物語”を持たずに映画館に来てほしい。それが私からのメッセージですね。
何も知らずに来て、楽しんでください。きっといろいろな議論が生まれるでしょうし、人によって見えるものも違うと思います。それこそが、私たちの作品です。」
誰かにとっての傑作が、別の誰かにとっては失敗作になる。そして、その逆もまた然り。人の言葉ではなく、自分の言葉で映画を語ろうぜ。映画『DIGGER/ディガー』は公開中。THE RIVER公式YouTubeチャンネルでは、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督へ行った、ここだけでしか見ることのできない貴重な単独インタビューフル動画を公開中だ。
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