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『ラ・ラ・ランド』監督がiPhone 11 Proで撮った縦型ショートムービーが公開

『ラ・ラ・ランド』監督がiPhone 11 Proで撮った縦型ショートムービーが公開
https://youtu.be/xqiPZBZgW9c

『セッション』(2014)『ラ・ラ・ランド』(2016)や『ファースト・マン』(2018)で知られるデイミアン・チャゼル監督がiPhone 11 Proだけで撮影した縦型ショートムービーが公開された。

タイトルは『The Stunt Double』。アクション映画の撮影中、ビル屋上から飛び降りた落下中にパラシュートが開かず気絶したスタントマンが、様々な映画の世界を走馬灯のように体験する内容だ。

気を失ったスタントマンは無声映画の世界で目覚める。ヒロインの婦人とドライブを共にする展開になるが、そこでカットがかかり、「スタントマンは終わり!」「主演を呼んでこい」とイイ所で交代させられてしまう。続いて白黒の冒険映画の世界に飛んだ後、西部劇の世界では「もっと激しく倒れてくれないと」と厳しい指示。

ロマンス映画の世界では華麗なアクロバットを披露してヒロインと口づけしようと言う所、またも「スタントは終わり」と追いやられる。その後もSF映画、戦争映画と様々な現場を駆け抜け、ついに場面は冒頭のアクション映画へと戻る。

セットへ向かう廊下で、これまで数々の作品で共演しながらついに結ばれなかったヒロイン役の女優と鉢合わせるも、スタントマンは気の利いた声もかけられない。「じゃあ また」と別れた後、運命の飛び降りシーンへ。パラシュートは開かず、絶体絶命のスタントマンの身に起こった奇跡とは……?

この斬新な縦型短編映画で主人公を演じたのは、実際に『ダークナイト』(2008)『デッドプール2』(2018)『スカイスクレイパー』(2018)など数々のアクション映画でスタントマンを務めるトム・マックコマースだ。

ちなみに撮影の様子を切り取ったメイキング映像も公開されており、こちらも縦型だ。チャゼル監督がiPhoneを持って撮影に挑む姿を見ることができる。

この企画のポイントは3つ挙げられる。まずは、およそ8分の短い尺の中に詰め込まれたデイミアン・チャゼル監督の映画愛だ。無声映画に始まり、インディ・ジョーンズを思わせる冒険映画の世界、クリント・イーストウッドのようなガンマン、ヒッチコック『北北西に進路を取れ』(1959)オマージュと、チャゼルの造詣が詰まっている。

次に、プロの映画監督が手掛けたものとしてはまだ例の少ない縦型画面の作品であること。スマートフォンの実機で鑑賞すると、手のひらの上で物語が展開されていくような、少し変わった臨場感を味わうことができる。チャゼル監督はメイキング映像で、「(スクリーンの)左右を見渡すというのに僕らは慣れてたと思うけど、縦型だと観客の視線を上下させられる。それが面白いところ」と話している。縦型になることで効果的な演出もあれば、そうでない場合もあるだろう。新しい映像の潮流として鑑賞したい。

そして、全編がiPhoneを使って撮影されているという点。西部劇の場面では、こめかみをタラリとつたう汗や瞳もきめ細やかに映し出される。iPhoneの4Kカメラの実力だ。

Apple社がiPhoneのカメラ性能のアピールのために「iPhoneだけで撮影した作品」を企画するのはこれが初めてではなく、直近では『デッドプール2』デヴィッド・リーチ監督もiPhone Pro 11だけで迫力あるショートムービーを撮影しており、「素晴らしいストーリーを語るのに、ハリウッド映画で使うような巨大な機材なんて必要ないんです」と語っていた。

チャゼル監督の今作『The Stunt Double』においても、照明などセットや編集はもちろんプロによるものであるが、使用したカメラは我々も手にするiPhoneなのだ。メイキング映像では出演者が「良いものを作るのに、何百万ドルもするカメラって実は必要ないんですね。何を作るかの方が大事」と語っている。チャゼルからは「頭を柔らかくして考えてもらえたら」と激励の言葉も。

弘法筆を選ばず、名監督カメラを選ばず?

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THE RIVER編集部THE RIVER

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