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『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』脚本家、ディズニーとソニーの対立事件をどう受け止めたか

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、ともすればMCU作品としては製作されなかった可能性がある一作だ。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)の公開後、MCUを指揮するマーベル・スタジオ/ディズニーと、『スパイダーマン』シリーズを製作するソニー・ピクチャーズが契約をめぐって対立。あわや、同作をもってスパイダーマンはMCUを離脱する可能性があったのである。

ソニーとマーベル/ディズニーの契約問題がどう転ぶかによって、『スパイダーマン』第3作の物語は揺らぐ。米Varietyでは、問題発覚当時の印象を、脚本のクリス・マッケナ&エリック・ソマーズが率直に語った。当時、ふたりは「もしもMCUから外れたらどんな映画になるのかと、そのための話し合いをした」という。

それもそのはず、『ファー・フロム・ホーム』は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の展開を大いに汲む作品だった。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でスパイダーマン/ピーター・パーカーが5年間消滅すること、『エンドゲーム』でアイアンマン/トニー・スタークがこの世を去ることをマッケナ&ソマーズは早くから認識しており、それを踏まえて『ファー・フロム・ホーム』を書き上げたからである。

しかしふたりは、あわやMCU離脱という事態を前に、むしろクリエイティブな作業に打ち込むことができたという。話し合いを振り返って、ソマーズは「制限を与えられたようでした。その制限が可能性をもたらし、創造的な議論を促すのです」と語っている。「幸い、僕らが前進しすぎるよりも早く(再契約の)合意が結ばれたので、以前のチームとすぐに合流できたのですが」とも。

完成した『ノー・ウェイ・ホーム』には、サム・ライミ版『スパイダーマン』3部作や『アメイジング・スパイダーマン』2部作からヴィランたちが登場する。しかしマッケナ&ソマーズは、さらに異なるユニバースからもヴィランを招き寄せることを検討していたそう。そのうちのひとりが、すでに単独映画の製作が決まっているクレイヴン・ザ・ハンター。登場キャラクターを自在に検討できるだけの自由は、対立の解決以前から与えられていたということだろう。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2022年1月7日(金)公開

Source: Variety

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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