『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のピーター・パーカーが悲しすぎる ─ 人工知能が「最も友人に近い存在」、本当にひとりぼっちの戦い
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で、トム・ホランド演じるピーター・パーカーには新たなAIアシスタントがいるようだ。その名は、E.V.。しかもデスティン・ダニエル・クレットン監督のメモによれば、彼女は「悲しいことに、ピーターにとって最も友人に近い存在」なのだという。
米Entertainment Weeklyを通じて、本作の脚本冒頭3ページが公式に公開された。監督やトム・ホランド、ゼンデイヤ、撮影監督らの手書きメモ付きで明かされたもので、前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)後のピーターの暮らしぶりが、早くも切なすぎるものとして浮かび上がっている。
公開された脚本では、ピーターがE.V.に「カートリッジ・マトリックス」の調整を依頼する場面がある。するとE.V.はコンピューター上で数値を走らせ始める。トニー・スタークのJ.A.R.V.I.S.やF.R.I.D.A.Y.のように、ピーターの作業を補助する人工知能という位置づけのようだ。
もっとも、E.V.はスターク製の高度なテクノロジーではない可能性がある。クレットン監督は脚本ページに、「スタークの資金もガジェットも、もうない。彼のテクノロジーはすべてピーターによって作られていなければならない」と書き込んでいる。つまりE.V.もまた、ピーター自身が作り上げた存在であるのかもしれない。
これまでMCUでは、トニー・スタークのJ.A.R.V.I.S.やF.R.I.D.A.Y.、また『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)でピーターが手にしたE.D.I.T.H.など、AIアシスタントは“スタークの遺産”として登場してきた。だが『ブランド・ニュー・デイ』のピーターには、もはやスタークの支援も、ハイテク装備もない。彼は自分の手でスーツを縫い、自分の手で装備を作り、自分の手でAIまで用意している。
ここで胸に迫るのが、E.V.が単なる便利なガジェットではなく、「ピーターにとって最も友人に近い存在」と記されていることだ。前作のラストでピーターは、世界中の人々から“ピーター・パーカー”に関する記憶を消す選択をした。MJも、ネッドも、ハッピーも、彼のことを覚えていない。誰にも知られず、誰にも頼れず、ニューヨークの片隅でひとり暮らすピーターにとって、会話できる相手がAIしかいないとすれば、それはあまりに孤独な新生活である。
脚本冒頭では、ピーターが『ノー・ウェイ・ホーム』の終盤でMJに渡そうとしていた手紙をまだ持っていることも明かされている。その手紙には、ドクター・ストレンジの呪文で何が起きたのか、なぜ彼女がピーターのことを覚えていないのかが書かれているという。また物語は『ノー・ウェイ・ホーム』のラストから9か月後で、ピーターは新しいアパートで不健康な生活を送っており、それが身体にも影響を及ぼし始めているようだ。
さらに部屋には、ネッドのLEGO皇帝フィギュアや、かつてMJからもらったコーヒーカップが残されている。スマートフォンには、メイおばさんの墓前に届ける「花」のリマインダーと、ネッドがMITの工学課程に合格したことを知らせる通知も設定されているという。
こうした描写を踏まえると、E.V.の存在はなかなか重要だ。スパイダーマンとしての活動を支えるAIであると同時に、ピーターが孤独を紛らわせるために生み出した“話し相手”でもあるのかもしれない。名前の「E.V.」が何を意味するのかは現時点で明かされていない。J.A.R.V.I.S.やE.D.I.T.H.のように何らかの略称なのか、それともピーターにとって個人的な意味を持つ名前なのか。
クレットン監督は別のインタビューで、本作のピーターについて「ニューヨークの真ん中に住んでいて、周囲には何百万人もの人がいる。それなのに、完全に切り離され、孤独を感じている」と説明していた。また本作は「他者とつながることの大切さ」を描く映画だとも語っている。
AIが一番の友人になってしまったピーターは、そこからどのように人とのつながりを取り戻していくのか。『ブランド・ニュー・デイ』というタイトルは、明るい再出発を思わせる。しかしその出発点にあるのは、世界を救った少年が、世界の誰からも忘れられてしまったという深い孤独なのかもしれない。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は2026年7月31日に日米同時公開。
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