秘密だった『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』セイディー・シンクは「もうひとつの非常に有名なマーベルのフランチャイズにつながっていきます」

この記事には、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のネタバレが含まれています。

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』セイディー・シンクが演じたのは『X-MEN』ジーン・グレイ
映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』を観れば、その厳重な秘密主義にも納得できるだろう。セイディ・シンクが演じたのは、X-MENを代表するミュータント、ジーン・グレイだった。間違いなく、今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中心人物となりうる1人だ。これまでの旧20世紀フォックスによるシリーズでは、ファムケ・ヤンセン、ソフィー・ターナーによって演じられた。
米Varietyから、なぜシンクの役柄を隠したかったのかと尋ねられたケヴィン・ファイギは、「観客に可能な限り最高のオープニング週末の体験を届けるため、それだけです」と回答した。
「セイディーのキャラクターが、マーベル・ユニバースにおいて非常に重要な意味を持つことを、ファンは知っています。彼女は今後のMCUでも重要な役割を担います。ようやく秘密が明らかになって、セイディーがこの質問をかわし続けなくてもよくなったことが嬉しいですね。」
シンクの出演は2025年3月に報じられていたが、役名は公開されず、本人もインタビューのたびにジーン・グレイ説やメリー・ジェーン・ワトソン説などをかわし続けていた。ファイギの発言によれば、その秘密主義は話題作りのためだけではなく、観客が予備知識を持たずにジーンの正体を知る瞬間を守るためだったということだ。
もっとも、製作陣は新生『X-MEN』への布石だけを目的に、ジーンを『ブランド・ニュー・デイ』へ登場させたわけではない。プロデューサーのエイミー・パスカルは米Deadlineで、ピーター・パーカーとジーン・グレイの組み合わせについて、「コミックでは、X-MENをはじめ、あらゆるキャラクターが常につながっています」と説明。そのうえで、今回ジーンを選んだ理由をこう明かした。
「ジーン・グレイを選んだのは、彼女がX-MENの一員だからではありません。デスティン(・ダニエル・クレットン監督)がやって来て、“テクノロジーなどの影響によって、かつてないほど人々が孤立している現代についての映画を作るのなら、僕はこの作品をどう作ればいいのか分かる”と言ったんです。」
クレットンが注目したのは、若者に限らず、現代を生きる多くの人々が感じている孤独だった。パスカルによれば、監督は「誰かに手を伸ばし、つながりを作ることこそ、人ができる最も大切なことだと描けるなら、この映画を理解できる」と提案したという。
さらにクレットンは、ピーターが立ち向かう相手についても、これまでとは異なるアイデアを持ち込んだ。「“ヴィランをティーンエイジャーにしたら、本当に面白いと思う”と言ったのも彼でした。これまでに描いてきたような怪物ではなくてです」。
パスカルは、優れたスパイダーマンの物語では、敵もまたピーターと同じ問題を抱えていると指摘する。「ピーター・パーカーについてもうひとつ言えるのは、最高の物語とは、ヴィランも彼と同じ問題を抱えている時に生まれるということです。匿名性の中で生き、孤立していると感じている。今の時代に伝えるべき物語だと思いましたし、誰もが共感できることでもあります」。
本作のジーンは、強大な能力ゆえに周囲から切り離され、ピーターと対立しながらも、彼とよく似た孤独を抱える人物として描かれた。つまりジーンは、未来の『X-MEN』を予告するためだけに投入されたゲストキャラクターではなく、孤独なピーターが、自分と同じように誰にも理解されない少女へ手を伸ばすという、本作のテーマそのものを担う存在だったと言えよう。
『ブランド・ニュー・デイ』で特に重要なのは、シンクのジーンが別宇宙から迷い込んだ人物ではなく、MCUの本流であるアース616に暮らすミュータントとして登場したことだ。
ジーンは現時点ではX-MENに加入していないものの(そもそも組織としてのX-MENが存在するとも言及されていない)、原作コミックではサイクロップス、ビースト、アイスマン、エンジェルと並ぶ創設メンバーのひとり。プロフェッサーXの最初期の生徒であり、テレパシーとテレキネシスを操る、シリーズの中心人物である。
これまでのMCUにもミュータントは登場してきたが、『ブランド・ニュー・デイ』は、やがてX-MENの中核となるキャラクターがアース616にすでに存在していることを、明確に物語へ組み込んだことになる。しかもファイギは、ジーンが今後のMCUで重要な役割を担うと明言している。その通りで、シンクは2027年の『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』へ出演することが明らかになっている。
マーベル・スタジオは、『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』後にMCUをひとつのタイムラインへと再構築し、キャストを一新した『X-MEN』を始動させる方針。ファイギはこれを完全なリブートではなく「リセット」と表現し、ミュータントとX-MENが新時代の中心になることを予告している。シンクがその橋渡し役のひとりとなる可能性は高い。
新生『X-MEN』では、『サンダーボルツ*』のジェイク・シュライアーが監督を務め、サマラ・ウィーヴィングがエマ・フロスト役を演じると報じられている。これにより現時点では、シンク演じるジーン・グレイと、ウィーヴィング演じるエマ・フロストという、次世代のミュータント2人の配役が見えてきたことになる。
さらにファイギは、『ブランド・ニュー・デイ』が今後のMCUへどのようにつながるのかという質問に対し、次のようにも語っている。
「『ブランド・ニュー・デイ』を観た方なら、この物語がさらなる『スパイダーマン』映画と、MCUの未来につながっていくことをご存じでしょう。まだ公開されたばかりなのでネタバレの範囲だと思いますが、スタン・リーとジャック・カービーが生み出した、もうひとつの非常に有名なマーベルのフランチャイズにもつながっていきます。」
ファイギはシリーズ名を伏せたが、これは文脈上、ほぼ間違いなく『X-MEN』を指している。原作『X-MEN』は、スタン・リーが脚本、ジャック・カービーが作画を手がけたコミック第1号が1963年に刊行された。同号ではプロフェッサーX、マグニートー、サイクロップス、ビースト、アイスマン、エンジェル、そしてジーン・グレイがそろって初登場。ジーンはチームに加わる5人目の生徒として描かれている。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は、ピーター・パーカーの新章を描くと同時に、アース616におけるミュータントやX-MENの物語を本格的に動かし始めた作品でもあった。ただ、この作品評は「今後のMCUに繋がる橋渡し作」とはならず、あくまでもスパイダーマン/ピーター・パーカーの独立した物語として絶賛されているところに、本作の品の良さがある。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は大ヒット公開中。
▼ 『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の記事

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