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『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』「スタテン島での借り」とは? ─ スパイダーマンとパニッシャー、知られざる前日譚

スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ
(C)& TM 2026 MARVEL

この記事には、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のネタバレが含まれています。

スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ
(C)& TM 2026 MARVEL

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』スタテン島での借りとは一体何?

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』では、映画冒頭で街を暴走する戦車をスパイダーマンが追う場面でパニッシャーが出現。市街地にもかかわらず問答無用でロケットランチャーをぶっ放そうとするパニッシャーに対し、スパイダーマンは制止を試みる。ここで、スパイダーマンとパニッシャーがすでに旧知の間柄であることが示唆され、スパイダーマンは「スタテン島の借り」という話題を持ち出す。

その後、スパイダーマンがMJを匿う目的でパニッシャーの隠れ家を訪れた際にも、彼らは「スタテン島の借り」について言及。どうやら過去、スパイダーマンはスタテン島でパニッシャーを救ったことがあったらしい。しかしパニッシャーはその解釈を否定したり過小評価したりして、この話題にウンザリしている様子を見せる。

はて、過去にスパイダーマンとパニッシャーがスタテン島で共闘するエピソードがあったのだろうか?パニッシャーはこれまで、旧Netflix時代の「デアデビル」シーズン2で初登場し、その後は単独ドラマ「パニッシャー」が全2シーズン、計26話製作された。さらにディズニープラスでは「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン1にもゲスト出演したほか、単独スペシャル『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』もリリースされている。映画への登場は今作が初となるが、テレビシリーズではすでに約10年もの歴史を持つ人気キャラクターなのだ。

結論を述べると、これまでの実写映像作品で、彼らの言う「スタテン島の借り」について描かれたり、言及されたりしたエピソードは存在しない。本作で新たに追加された、オフスクリーンの前日譚である。だから、だれも理解できなくて当然なのだ。

本作における「スタテン島での借り」は、スパイダーマンとパニッシャーの間にすでに共闘歴があったことを示すための仕掛けとして機能している。明朗なスパイダーマンはパニッシャーに借りがあると自負しており、一方で一匹狼タイプのプライド高いパニッシャーは、しきりと前歴をアピールしてくるスパイダーマンを鬱陶しく感じているが、この正体不明ながら明らかに年下の小僧に手助けされた事実は確かであるとどこかで感じているのか、邪険に扱えなくなっている。

スパイダーマンとパニッシャーは性格も正義の流儀も正反対だが、共にニューヨークを守るヴィジランテとして、時には手を組まざるを得ない。そのアンバランスでユーモラスな関係を、たった一言で感じさせる装置が「スタテン島での借り」なのである。なお、スタテン島はマンハッタンやブルックリンなどと並ぶ、ニューヨーク市の5つの行政区のひとつである。

この「スタテン島での借り」は、MCUにおける「ブダペストでの思い出」に似たようなものだ。『アベンジャーズ』では、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフとホークアイ/クリント・バートンが「ブダペスト」の思い出について言及し、2人がかつて現地で任務を共にしていたことが示唆された。後に映画『ブラック・ウィドウ』で任務の概要と一部の回想が明かされたものの、ナターシャとクリントによる一連の作戦そのものが、まとまった形で映像化されたわけではない。

したがって『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』での「スタテン島での借り」についても、観客は「見逃していたエピソードがあるのか」と不安に思う必要はなく、2人の間で、過去に貸し借りがあったものと緩やかに理解すれば良い。実際、映画のラストでパニッシャーは、人情味あふれるやり方でスパイダーマンへの借りを返している。

ちなみにパニッシャーことフランク・キャッスルは元軍人で、長年の軍事作戦への従事によって戦闘や暗殺、処刑に密接な人生を送ってきた。帰国後、愛する妻と2人の子どもと共に出かけた先でギャングの抗争に巻き込まれ、眼前で家族を失う。これを機にフランクは、法では裁ききれない犯罪者を自らの手で処刑する私刑執行人“パニッシャー”へと変貌した。

ディズニープラスで配信中の単独スペシャル「パニッシャー:ワン・ラスト・キル」をはじめ、これまでの登場作品では、その容赦ない暴力性と、戦争や家族の死が刻んだ深いトラウマがハードに描かれてきた。そんなパニッシャーが、不殺を信条とするスパイダーマンと交流し、「スタテン島での借り」をめぐって軽妙な応酬を繰り広げ、最後には自分なりの形で借りを返していく。フランクの人間味がにじむこの流れも、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の大きな見どころのひとつである。

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は大ヒット公開中。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者、運営代表。執筆・編集から企画制作・取材・出演まで。数多くのハリウッドスターに直接インタビューを行なっています。お問い合わせは nakataniアットriverch.jp まで。

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