『バックルームズ』21歳監督、YouTuber時代は「27時間」ぶっ続けで制作 ─ 完成したら午前3時でも即投稿

映画『バックルームズ』を手がけたケイン・パーソンズ監督は、16歳からYouTubeで『Backrooms』の短編シリーズを制作してきた。脚本や撮影のみならず、3DCGやVFXまで自ら手がけながら作品を作り続け、その延長線上で21歳にしてハリウッド長編映画の監督へと到達した。
そんなパーソンズは、YouTube時代には時として27時間もぶっ続けで制作していたという。筆者の単独インタビューで、その尋常ではない没頭ぶりを明かしている。
話題になったのは、「個人制作のYouTube」と「商業スタジオが伴う長編映画」では、作品を手掛けてから、完成するまで、さらに観客に届くまでの時間が大きく異なるのではないか、という質問だった。
YouTubeでは、ひとりで作品を作り、完成したらその場で公開できる。パーソンズにとっては、それが長年の当たり前だった。
「YouTubeは……僕にとっては全然変なことではなくて、すごく慣れているんです。作品を作って、完成したらすぐ公開できる。本当にそれだけです。ひとりでやっていますからね。」
中でもパーソンズを突き動かしていたのが、数カ月かけて作ってきた作品の「ゴール」が見えた瞬間だったという。
「何年もやっているうちに、YouTube動画を数カ月かけて作っていて、『あと1日くらいで完成するな』と感じた瞬間から、僕はもうそれしかやらなくなるんです。興奮してしまって、とにかく完成させるまでほかのことをやらない。寝ることすらしません。27時間くらいずっと起きて完成させることもあります。ゴール直前まで来た時の、あの勢いがあるからです。」
そして完成すれば、公開タイミングを計算することもない。とにかく勢いだ。
「たとえ火曜日の午前3時だったとしても、完成した瞬間に投稿してしまう。待てないんです(笑)。マーケティング的に最適な時間まで待つとか、一番数字が伸びる金曜日に公開するとか、そういうことをしません。とにかくすぐ出してしまう。」
数字を最大化するために公開日時を調整するより、とにかく完成したものをすぐ世に出したい。そこにはYouTubeクリエイターらしいスピード感という以上に、若きパーソンズ自身の制作への純粋な衝動がにじむ。
そもそも映像制作は、パーソンズにとって10代で突然始まった趣味でもな。「僕は物心ついた頃からずっと動画やVFXの短編みたいなものを作ってきた」と話す。「それが僕という人間を一番よく表す特徴になっていたと思います」。
興味深いのは、巨大なスタジオ作品となった『バックルームズ』でも、制作終盤の感覚はそれほど変わらなかったということだ。
本来、ひとりで完結できるYouTube動画と、多数のスタッフやスタジオが関わる長編映画では、制作から公開までのリズムはまるで違うはずだ。ところが『バックルームズ』では、途中でスケジュールが組み替えられたこともあり、最後は猛烈な追い込みになった。
「仕上げはものすごい突貫作業になりました。そして映画を納品した翌日には、もうプレス活動が始まったんです。その数週間後には公開です。だから、その意味ではYouTubeとそこまで違わなかったのかもしれません。」
パーソンズにとっては、YouTube時代も長編映画も、完成間際にラッシュをかける感覚は案外変わらなかったようだ。ひとたびゴールが見えれば、一気に走り切る。その制作スタイルは、21歳でハリウッド長編を手がけるようになった今も健在らしい。
映画『バックルームズ』は公開中。
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