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「アメコミ映画は高尚なアートではないからと切り捨ててはいけない」 ─ 『エターナルズ』『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督が擁護

Chloe Zhao クロエ・ジャオ
photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chloe_Zhao_(48462722666).jpg

『ノマドランド』(2020)でアカデミー賞監督賞に輝き、『ハムネット』(2025)でも再び同賞候補となったクロエ・ジャオ。一見すれば巨大フランチャイズとは距離のある作家に思えるが、本人にとってマーベル・スタジオ『エターナルズ』(2021)は、自身の創作観から外れた仕事ではなかったようだ。公開から約5年を経た今も制作体験を肯定し、コミック映画を「高尚な芸術」ではないとして切り捨てるべきではないと語っている。

ジャオは2026年9月4日、第83回ヴェネツィア国際映画祭で開催された公式マスタークラスに、『ハムネット』の撮影監督ウカシュ・ジャルとともに登壇。米Varietyが、その中で語られた『エターナルズ』やコミック映画への思いを伝えている。

中国幼少期のジャオが夢見ていたのは、映画監督ではなくマンガ家になることだったという。

「でも、絵があまり上手じゃなかったんです。求められるレベルには達していませんでした。物語を伝えたかったけれど、映画が自分の選択肢になるとは思っていませんでした。」

やがて映画監督となったジャオは、『ノマドランド』での成功を経て、マーベル・コミックを原作とする『エターナルズ』を手がけることになる。その経験については、今も愛着を隠さない。

「作るのが大好きでした。アニメが好きな方なら分かると思いますが、私にとっては夢がかなったようなものでした。コミックブックは西洋におけるマンガのようなものです。もちろん両者は全く違いますが、私は西洋で暮らしていて、そこで触れられたのがコミックブックだったんです。」

もともとマンガやアニメに親しんできたジャオにとって、コミック映画は作家性の強い作品とは相容れないジャンルではない。むしろ、コミックを原作とする作品が芸術的なヒエラルキーの中で低く見られることにも異論があるようだ。

「“高尚なアート”とは考えられていないからという理由で、物語を切り捨ててしまわないことが大切だと思います。私にとってストーリーテリングの目的は、人々が自分の中にあるものと向き合うための“器”を作ることです。アーキタイプ(原型)はそのための素晴らしい方法で、神話にも登場します。それは私たち全員が共有しているものだからです。」

その考え方からすれば、『ノマドランド』から『エターナルズ』への移行も、本人にとっては世間が考えるほど大きな飛躍ではないらしい。マスタークラスで両作品の「強烈なコントラスト」を指摘されると、ジャオは「何が対照的なんですか?」と返し、「どちらも自然の中にいる人々……動物たちと一緒にいて……彼らと複雑な関係を築いている人々の話です」と表現した。

実際、こうしたコミックやジャンル作品への親しみは『エターナルズ』公開後に生まれたものではない。製作当時からジャオはSFやマンガ、ファンタジーのファンであることを明かし、ジャック・カービーのコミック、マーベル・スタジオが築いた世界、自身の嗜好をひとつの大きな“鍋”に入れて映画を作るという考えを語っていた

そもそも『エターナルズ』は、マーベル側がジャオに押し付けた企画でもなかった。2026年1月、ジャオはThe Hollywood Reporterのポッドキャスト「Awards Chatter」で、当初『エターナルズ』はマーベル・スタジオにとって優先順位の高い企画ではなかったと回想している。ケヴィン・ファイギ社長がジャオを信頼した理由のひとつは、ほかならぬ本人がこの知名度の低い題材に強い情熱を示したことだったという。

もっとも、完成した『エターナルズ』は興行・批評ともに厳しい結果となり、その後のMCUでも主要キャラクターの物語はほとんど進んでいない。映画の結末は彼らの再登場を予告する形だったが、ファイギは2024年7月、「『エターナルズ2』の予定は当面ありません」と明言している。現時点でも続編は正式発表されておらず、今回のジャオの発言も自身のMCU復帰を示唆するものではない。

シリーズの先行きは不透明なままだが、ジャオ自身に『エターナルズ』での経験を否定する様子はない。「夢がかなった」と振り返るその言葉からは、コミック映画もまた自身のストーリーテリングの延長線上にあることがうかがえる。

Source:Variety, La Biennale di Venezia, Inverse, The Hollywood Reporter – Awards Chatter

Writer

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Joe Kishi

THE RIVER編集部。ハリウッド大作からインディー作品、アニメーションまで幅広くカバー。魂を揺さぶる瞬間に出会える記事を届けたい。

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