『バイオハザード』新作、ゲームをそのまま映画化しない理由 ─ 「もしゲームをそのままスクリーンに映したら失敗する、どこかで期待に届かない」
実写映画『バイオハザード』を手がけるザック・クレッガー監督は、原作ゲームの物語をそのまま映画へ移し替えることには否定的だ。目指したのは特定の一作を再現することではなく、「バイオハザードをバイオハザードたらしめているもの」に忠実な映画。既存の人気IPを扱うにあたり、ファンへの敬意と作り手としての自由をどう両立したのか、その考えを明かしている。
クレッガーが2026年9月1日(現地時間)、米ロサンゼルスで行われた特別上映後のReddit公開AMAで語った。『バーバリアン』(2022)、『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)とオリジナル作品を発表してきたクレッガーにとって、『バイオハザード』は初めて既存IPをもとに手がける長編映画となる。
オリジナル作品と、すでに多くのファンを持つ作品とでは創作の仕方に違いがあるのか。問われたクレッガーは、むしろ「違いを作らない」ようにしたと答えた。
「僕としては、あまり違いを作らないよう心がけた。楽しさと自由さから書きたいから。『ファンを満足させるために、ここをチェックして、あそこも押さえて』と考え始めると、創作の喜びが汚されてしまう。だから今回は、ただ『このゲームが大好きだ』ということがすべてだった。」
シリーズを「山ほどプレイしてきた」というクレッガーにとって、「バイオハザード」は心を落ち着かせてくれるほど親しみ深い存在。ゲームが長年かけて進化させてきた世界や空気感を、いわば“砂場”のように使って新しい物語を作ることに惹かれたという。
しかも、この脚本に取りかかったころは、自分が監督を任されるとは考えていなかった。本人いわく当時はまだ業界内での「勢い」もなく、大作となる本企画を自分が撮れるとは思えなかったため、「それなら、自分がいちばん観たい『バイオハザード』映画を書こう」と決めた。その状況が、かえって「好き放題やれる」自由につながったという。完成した脚本を読み返し、自ら監督したいと思うようになったそうだ。
もっとも、クレッガーは「ファンが何を望もうが知ったことか」という姿勢ではないことを強調する。「バイオハザード」のファンに楽しんでもらいたいという思いは明確にある。その一方で、長い歴史を持つシリーズのファン全員を満足させることは不可能だとも認識している。
「『バイオハザード』のファンが本当に楽しめる映画にしたい。でも全員を満足させることはできないともわかっている。もしゲームのどれか一作の物語をそのままなぞってスクリーンに映したら、僕は失敗すると思う。どこかで期待に届かない。」
そこでクレッガーが選んだのが、個々の場面やキャラクターを再現するのではなく、「ゲームプレイやゲームの体験そのもの」を映画として表現する方法だった。かねてより監督は、原作の設定すべてに従うのではなく、「ゲームをプレイする体験の本質をとらえた物語にしたい」と説明していた。今回の発言では、“何を守り、何をそのまま再現しないのか”という線引きがさらに具体的に語られた形だ。
特にクレッガーが反発しているのは、「大きな予算を得るためだけに『バイオハザード』の名前を付けたのではないか」という見方だという。
「そうじゃないことは見てもらえばわかると思う。これは『バイオハザード』についての映画だ。サバイバルホラーのゲームについて、ラクーンシティについて、T-ウイルスについて、そのすべてについての映画だ。ただ、ゲームが見事にやってのけたことを、場面ごと、キャラクターごとに再現するような語り直しはしたくなかった。」
実際、新作ではゲームでおなじみのレオン・S・ケネディやジル・バレンタインを主人公に据えるのではなく、オースティン・エイブラムス演じる医療配達員ブライアンの新たな物語を描く。クレッガーは以前にも、既存キャラクターを無理に物語へ組み込まず、「物語を優先する」方針を明かしていた。
一方、ゲーム未経験者を置き去りにする作品でもない。クレッガーによれば、本作を楽しむうえで原作の知識は「一切いらない」。タイプライターなどシリーズを知る者だけが気づく細部はあるものの、中心となる物語は自己完結している。
「ある男がA地点からB地点まで行かなくてはならない。そして状況がとんでもなく悪化する。それだけ。誰でもついていける。予習動画を観る必要もない。初めての人にも、詳しい人にも、どちらにも向けた映画だ。」
ゲームの筋書きを再現するのではなく、サバイバルホラーとしての感覚やゲームプレイの体験を映画へ置き換える。その方針のもと、ラクーンシティやT-ウイルスといったシリーズの核となる要素を、まったく新しい主人公と物語で描くことになる。
『バイオハザード』は2026年9月18日に米国公開。日本では2026年10月9日(金)全国公開。
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Source:Sony Pictures / Reddit, Sony Pictures




























