マーベル、『シャン・チー』『エターナルズ』は実験だった? ─ 続編の宙吊り状態、今後の見通しは

2019年公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』で頂をきわめたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の不振が続いている。一意専心を促すべく、ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOはMCUの製作本数を減らす意向を明かしていたが、これにより犠牲となるタイトルが出てくるかもしれない。
ウォール街でディズニーの担当アナリストを務めるエリック・ハンドラー氏は米Varietyに「マーベルというマシンは、たくさんのコンテンツを吐き出していました」と話す。2020年、コロナ禍の大打撃からの立て直しを図るべく、ディズニーは新たに立ち上げたストリーミングプラットフォーム「ディズニープラス」でのMCU作品の製作を決定。2021年からは劇場公開作と並行して、ドラマシリーズの展開がスタートした。
「これが供給過多となってしまい、スーパーヒーローに対して人々を燃え尽きさせてしまったのか」と自ら疑問を呈したハンドラー氏は、「その可能性はあります」と続けている。「多く作れば、それだけクオリティを維持するのは難しくなってきます」。
ディズニープラスのMCU作品第1弾「ワンダヴィジョン」(2021)に始まるフェイズ4以降、MCUではファンには馴染みのない新キャラクターの単独作品も積極的に製作されるようになった。ハンドラー氏はこうした作品のリスクを提示しながら、独自の見解を示している。
「彼ら(マーベル)は、シャン・チーやエターナルズといった新しいキャラクターで実験を試みましたが、結果は賛否両論でした。こうした予算規模なのであれば、ホームランが必要となってきます。」
2021年に公開された『シャン・チー/テン・リングスの伝説』と『エターナルズ』の世界累計興行収入は共に4億ドル前半。米コムスコアのアナリストを務めるポール・デルガラベディアン氏が「5億ドルを下回るものは全て期待はずれと見なされてしまいます」と語っているとおり、成功とは言い難い結果となった。
“実験”がうまくいかなければ、何かを改めるか、諦めるかの決断に向き合わなければいけない。『シャン・チー』と『エターナルズ』では事実上の続編製作を告げるテロップが映画の最後に表示されたが、現時点で公式からの発表はなされておらず。『シャン・チー』については続編が企画中であることが2021年12月に報じられたが、2023年7月には主演のシム・リウが「自分のコントロールの及ばない状況で延期され続けている」と語っていた。
情報筋によれば、マーベル・スタジオ内部ではきたる『アベンジャーズ』シリーズ新作映画のため、ロバート・ダウニー・Jr.やクリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソンといったオリジナルメンバーの復帰が検討されているという。万が一にもそうなれば、シャン・チーやエターナルズに向けられていたフォーカスが外れていく可能性も考えられなくはないが、果たして次世代ヒーローたちの運命やいかに。
▼MCU の記事
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』2人のスパイダーマン登場シーンはネット掲示板で先に予想されていたため急きょ変更されていた ファンアートで同じものが描かれていた マーベル「第4の壁」破るシーン集が公開 ─ 掟破り、キャラクターがこっちに直接話しかけてくる場面たち えっ、この場面も? 『スパイダーマン』監督、MCU版『ファンタスティック・フォー』降板理由は「燃え尽きていた」から ─ 「なにかを間違えれば、本当に人が死ぬかもしれなかったから」 コロナ禍の『ノー・ウェイ・ホーム』製作で 『ファンタスティック4』ペドロ・パスカル「老けすぎ」と批判もロバート・ダウニー・Jr.から励まし「不安になってもいいと思えた」 不安もあったそう 「アイアンハート」は科学と魔法の融合、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に通じる? 配信延期の間に大転換
Source:Variety