Menu
(0)

Search

『TENET テネット』の「すべてを理解してもらおうとはしていない」とクリストファー・ノーラン

TENET テネット
© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

2024年1月、映画監督クリストファー・ノーランが、受講するオンラインフィットネスのインストラクターに『TENET テネット』(2020)を批判されていたという珍事がにわかに話題を呼んだ。インストラクターはセッションの中で、「(あの映画について)誰か説明してください。何が起きていたのかサッパリわからない。人生の2時間半を返してほしい」と口にしたのである。

映画ファンの間でもしばしば聞かれる、「『TENET』は難しすぎる」「よくわからない」という声。それらをノーラン自身は、実のところどのように捉えているのだろうか?

TENET テネット
© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

テレビ番組「The Late Show with Stephen Colbert」に出演したノーランは、司会者のスティーブン・コルベアから「『TENET』が理解できない、全然わからないという人もいます。あなた自身はすべて理解しているんですか?」と尋ねられると、「皆さんにすべてを理解してもらおうとはしていません。すべては理解できませんよ」と答えた。「『インセプション』(2010)の結末が実際どうだったのかを聞かれるのに似ています」と。

ノーランが重視しているのは、ストーリーを理解してもらうことよりも、むしろ映画を“体験”してもらうことだ。そして、その点では十分な手ごたえを感じているという。

「私の物語に不満を抱いた方もいらっしゃいますが、それはさほど重要ではないと思うこともあります。なぜなら、これは解くべきパズルではないから。なるべく映画館で、あるいは家でも、願わくば途切れることなく、ひとつの時間で味わってほしい体験です。“体験”こそが映画のポイントであり、性質なんですよ。」

いかなるストーリーであれ、ノーランのスタンスは変わらないのだろう。「私にとっては、観客と一緒に映画を観るという感情的な体験がすべて」だという彼は、「それ以外のことは──たくさん話したい、議論したいと思ってもらえたり、あるいはアイデアに共感してもらえたりしたら──それは大きなご褒美です」とも話した。

あわせて読みたい

Source: The Late Show with Stephen Colbert

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly