『オークストリートの異変』別エンディング、救いがなさすぎる ─ ギリギリで変更した「涙」の理由

この記事には、『オークストリートの異変』のネタバレが含まれています。

『オークストリートの異変』では、プラット家族が暮らすオークストリートの住宅街一帯が、恐竜たちの生息する先史時代に謎の移動を遂げてしまう。家族たちは必死に生き延びようとする中、ある場面でグレッグ(ユアン・マクレガー)は妻デニース(アン・ハサウェイ)をアロサウルスから救おうと立ち向かうが、恐竜に捕らえられ、脚を食いちぎられた末に殺されてしまう。
マクレガー自身、この展開について「家族のひとりを、観客が思っているよりも早い、予想していない瞬間に失うというアイデアが気に入っていました」と振り返っている。
しかし劇場版では、この凄惨な死が最終的に覆される。デニースと子どもたちはワームホールを通って1982年へ帰還。これから起こる異変を住民たちに知らせることで時間の流れが変わり、オークストリートが恐竜時代へ飛ばされる事態そのものを回避する。結果としてグレッグが恐竜に殺される未来も消え、ラストでは家族が再会を果たす。

当初はまったく違った。マクレガーによれば、初期バージョンではデニースたちはワームホールに入っても自分たちの時代まで戻ることができず、「開拓者たちの時代の大草原」にたどり着く予定だったという。「自分たちの時代には戻れなかったんです。そして、かわいそうなグレッグはそこにはいなかった」。
つまり一家は恐竜時代からは脱出できても、1982年よりはるか昔の時代に取り残される。グレッグはすでに恐竜に殺されているため、劇場版のように過去を変えて救い出すこともできない。元の生活にも戻ることができず、また別の過酷な時代へと飛ばされてしまうバッドエンドとなっていたのだ。
この初期案についてはハサウェイの証言とも一致する。ハサウェイは米Entertainment Weeklyにて、自身が出演契約を結んだ時点の脚本でもグレッグは死亡したまま戻ってこなかったと明かしている。エンディングが変更されたのは撮影開始のかなり直前だった。
ハサウェイは当初、元の結末に強く思い入れていたため、変更が正しいのか自分では判断できなかったという。監督・脚本のデヴィッド・ロバート・ミッチェルと製作のJ・J・エイブラムスが新しい結末に確信を持つなか、「私は以前のバージョンにすごく思い入れがあったので、これが正しいのか自分には分からない。二人を信じます」と委ねたそうだ。
しかし、完成した映画を観たことで考えが変わった。ハサウェイは、父親を亡くした経験のある人物と一緒に本作を鑑賞したといい、その人物は家族が再会するラストで涙を流したという。
「映画を観た時、父親を亡くした人と一緒だったんです。その人はエンディングで突然泣き出しました。その人は『実は、こういう映画に自分が求めているのはまさにこれなんだと思う。映画の中だからこそ起こせることで、それがすごく好きだ』と言ったんです。だから、あのエンディングを考え出したJ・Jとデヴィッドには、本当に最大限の敬意を送りたいです。」
グレッグを生還させる変更は、単にハッピーエンドへ書き換えたというだけではない。ミッチェル監督はTHE RIVERの単独インタビューで、本作について「根本的には、僕たちは『家族ドラマ』を作っている」と説明している。巨大なスペクタクルを描きながらも、登場人物を単なる物語上の駒ではなく「観客が本当に彼らのことを大切に思えるような人物」にしたかったという。
そう考えると、初期案と完成版では作品が最後に残す感情も大きく異なる。もともとは、家族が力を合わせて恐竜時代から脱出しても、父親を失ったうえに自分たちの時代にも帰れないという苦い結末。それが製作過程で、時間旅行という本作ならではの仕掛けを使って「失った家族を取り戻す」結末へと変化した。ハサウェイ自身も、観客の反応を目の当たりにして初めて、その変更に納得したというわけだ。
『オークストリートの異変』は全国公開中。
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Source:USA TODAY, Entertainment Weekly



























